最近、何かと話題になり、人気上昇中の白茶ですが、白茶には3つのまったく異なる顔があります。
白茶とは
白茶というお茶の種類についてですが、これは外観や色ではなく、作り方によって定義されます。
白茶は全く揉まず、ゆっくりと萎凋することで水分を減らし、最終的に、水分が20%以下くらいになった時点で温風、日光、または送風により乾燥して完成です。他のお茶のように炒る・蒸す等による熱処理がありません。
この作り方ゆえに、白茶には他のお茶にない特徴が2つあります。
1.酵素(酸化酵素)がそのまま残っている。
2.成分が熱酸化せずに残っている。
これら2つの特徴を良く理解することで、以下に説明する白茶の3つの顔が理解できます。
1.白茶をいれる過程で更に発酵しフルーティに
白茶にはポリフェノールオキシダーゼ(PPO)と呼ばれる酸化酵素が活性のある状態で含まれています。酵素とはタンパク質の一種で、酸化酵素はお茶の酸化を媒介します。
酵素が活性化するためには水分と適度な温度が必要です。また、酵素はタンパク質ゆえに60℃から70℃の熱湯で失活します。
この為、お茶をいれた瞬間に酵素は失活すると思われがちですが、白茶をお湯でいれると、茶葉内部の温度は即上昇するわけではありません。実際はじわりじわりと温度が上がるため、いれている間に酵素が急激に活性化し、発酵が進みます。
この為、お湯でいれた白茶はベージュっぽい褐色に変化し、ダージリン紅茶のような少しフルーツ系の香りを呈します。
沸騰水でいれた白茶の茶殻
私は白茶をいれる際は、沸騰水で急激に加熱することで出来るだけ早く酵素を止め、発酵が過度に進まないように制御することでよりフレッシュなフルーツ香を引き出すようにしております。
具体的には茶器を予熱した上で、熱湯を茶葉に注ぎいれ、10秒後に捨て、再度、熱湯を注ぎいれ5−10秒で捨て、3回目にしてようやくいれます。(約10秒)徹底的に温度を高めることで酵素を失活するのが目的です。
白茶を低めの温度でいれた場合、温度上昇が緩慢ゆえ、酸化発酵が急速に進むため、香りはかなり紅茶よりへと変化します。
2.水出しにすると鮮やかな緑と爽やかな香り
熱湯に対して、冷水でいれた場合、酵素は殆ど活性化しません。この為、白茶を水出しにすると、白茶の無垢な味を楽しめます。
お湯でいれると酵素発酵によって褐色に変化する白茶ですが、冷たい水で水出しにすると、茶葉は鮮やかな緑色を呈します。
水で淹れた白茶は、お湯でいれた白茶は全く異なる味香りになります。実際、水出しの白茶は、花や紫蘇の葉のような爽やかな香りがします。
私は5gの茶葉を2リットルの冷水にいれ、冷蔵庫で半日から一晩だします。いれ終わった茶葉は除去します。
水出しの茶殻は酵素が活性化しないため色が新鮮
3.熟成で蜜やブドウのような濃厚な香りに変貌
白茶はプーアル茶と同じく熟成させて楽しむお茶でもあります。白茶はお茶の中では最も歴史が古いお茶とも言われており、その昔は意図せず熟成した白茶が飲まれておりました。
白茶は微発酵で熱をかけずに作られるため、酸化度の低い微発酵ポリフェノールが豊富に含まれております。微発酵のポリフェノールは白ワインの成分と性質近く、熟成による伸びしろが大きいため、お茶を数年以上寝かすことで、新茶にはないような甘く濃厚な香りが形成されます。実際、白茶はプーアル茶よりも分かりやすく、顕著に熟成します。
無酸素で数年以上熟成した白茶はブドウやトロピカルフルーツ、蜜のような香りへと変化し、また、口当たりも滑らかになります。
私はより繊細で上品な熟成をしたいので、無酸素で保存します。ただし、世の中では有酸素での熟成が一般的です。つまり、空気に触れる状態で長年置いておくと言うやり方です。
有酸素の方が熟成速度は圧倒的に速いですが、雑味やヒネ臭も同時に形成し、やや黒茶系の性格に変化します。無酸素熟成は熟成速度は遅いものの、より新鮮で洗練されてた味香りへと変化します。無酸素熟成をしたい人は、HOJOの白茶を未開封のまま、有酸素熟成をしたい人は、1度開封した袋を再度閉じた後に数年以上保存されると良いでしょう。なお、熟成は温度が高い部屋ほど速く進みます。