2019年産の単株プーアル生茶、松林大樹茶 単株生茶 2019 を発売しました。
このお茶は、松林の間にひっそりと自生する、樹齢300歳越えの大木から収穫された単株生茶です。
日陰の木のみ選んで収穫していることから、日陰のお茶の特徴を体感して頂けると思います。
単株茶とは
単株茶とは1本だけのお茶の木から製茶されたお茶の事です。
通常、雲南省の各お茶農家では、自分たちの所有する最も樹齢の古いお茶の木は、単独で分けて製茶することで、単株茶として販売します。
但し、全ての農家が樹齢数百歳の古樹を所有しているわけではありません。その様な場合、同じ単株茶という名称がついていても比較的若い木から作られていることもあります。また、樹齢が高くても肥料を沢山与えて育てられたお茶は味が薄くなります。単株茶だから一概に品質が良いという事ではありません。
質の高い単株茶であるためには、木の樹齢はもちろん、茶園の標高、更に、最も重要な点として、肥料を与えずに時間をかけてゆっくりと育てたお茶であることが重要です。
松林に囲まれたお茶の古樹
松林大樹茶の茶園は臨滄市の南西部、鎮康県付近、標高2100mに位置する小さな茶園です。
こじんまりとした茶園で、松の木の林に囲まれたスロープにひっそりと鎮座しております。
特徴は樹齢300歳を余裕で超えるような大木が数十本ある点と、茶園が松林の間に位置しており、一日中直射日光が当たりません。
松林の間にあることから、松の木の葉が茶園に積もっており、お茶の木は松葉からも養分やミネラルを得ております。
茶園は無農薬に加え、完全無肥料で管理されており、理想的な生育環境でした。
松林大樹茶園の中でも特に老木のお茶の木については、木単位で収穫を行い、単株茶(Single Tree Tea)として1本の木のみからお茶を加工しました。
2019年はプーアル生茶の当たり年
2019年は5月中旬まで殆ど雨が降らず、お茶の品質が突出して良い年でした。
Covid-19が発生する前だったこともあり、2019年においては、私は春、雲南省に2ヶ月間滞在し、生産者と共にお茶作りを行いました。自分で生産管理をしたこともあり、私が理想とする品質に限りなく近いお茶に仕上げる事が出来ました。
お茶は低温殺青で加工することで、熱ダメージを最大限に抑え、フルーティで豊かな香りを引き出せる工夫をしました。
本当はもっと早く発売したかったのですが、良いお茶と言うこともあり、出し惜しんでいたところ、気がつけば2年も経過してしまいました。既にお茶の熟成が程良く進行しており、甘い熟成香が形成されつつあります。
茶園をレンタルすることでお茶を仕入れる権利を確保
この茶園のオーナーは典型的なお茶農家で、茶園は所有している物の、自ら製茶を行っておりません。この類の農家では、生茶葉を周辺地域の製茶業者に販売して生計を立てているのです。
基本、老木が多く残っている地域は、その名声から、多くの人が目を付けております。この為、お茶摘みシーズンともなると、茶園オーナーがお茶を売りに行かずとも、買い手からやってきます。
松林大樹茶の茶園は突出して樹齢の高い木で構成されていることから、多くの原料バイヤーに知られておりました。
この為、原料確保は熾烈な競争となり、2018年は数キロのお茶しか入手出来ませんでした。
どうしたら翌年2019年から松林大樹茶の生茶を確保出来るか、HOJOのお茶の加工を担っている茶師と話し合いました。
その結果、茶師の名義にて、茶園をレンタルする決断をしました。
多めのお金を払ったとしても十分に価値のある茶園ゆえ、相場より多めの金額を支払うことで、オーナーにレンタルを快諾して貰いました。
雲南省の場合、レンタルとは茶園の茶葉を入手出来る権利です。実際にはレンタル料に加え、お茶代も支払うため、茶園のオーナーとしてはレンタル分だけ追加の収入が得られます。
個性的な香りの日陰のお茶
一般的なプーアル生茶は複数の木から収穫された茶葉で構成されます。
通常、日陰のお茶だけから作られたプーアル茶を飲む機会は非常に希です。なぜなら、標準的なプーアル茶の場合、茶園単位で収穫されており、日陰や日向の茶葉が混在するためです。
一般的に日陰のお茶は、後味がより濃く余韻が長くなる傾向があります。武夷山ではこの性質が非常に好まれるため、武夷山内でも高値がつくエリアの多くは日陰です。
日当たりが良い茶園は味香りがスッキリするのに対し、日陰のお茶はクリーミーな味を呈します。また、日陰のお茶から作られたプーアル茶は新茶の際に独特の花のような香りを呈します。
日陰というと、玉露を連想しがちですが、プーアル茶に感しては非常に爽やかな香りであり、玉露の香りとは全く異なります。
日陰のお茶が優れているという話ではなく、日向の、日陰のお茶はそれぞれに個性があり、優劣は評価できません。
香りや飲んだときの印象が華やかなのは日向のお茶、落ち着いてて、味に奥行きがあるのが日陰のお茶の特徴です。
今回、7本の木からそれぞれ、7種類の単株茶を仕入れました。
ただ、HOJOでは頂芽のみを集めて製茶をしていることから、お茶の木1本当たり、数キロしか入手出来ませんでした。
完成したプーアル生茶は全て100gの餅茶に緊圧しました。200gと600gをご注文のお客様には、出来るだけ複数の木から収穫されたお茶をお届けしたいと思います。
但し、数に限りがございますので、販売状況によっては、同じ木のお茶が重複する場合もございます。
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200g (100g餅茶 × 2 ) 10,584円(税込)