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鳳凰単叢烏龍茶とプーアル茶の両方の個性を併せ持つ功夫プーアル茶

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功夫プーアル茶
馬鞍山の自然栽培茶を原料にプーアル茶と鳳凰単叢烏龍茶のハイブリット茶を開発しました。この商品はある出会いがきっかけで生まれました。

潮州出身の茶師との出会い

私が馬鞍山の周辺地域で生産者を捜していた際、非常に腕の良い生産者を見つけました。面白い事にこの生産者は潮州の鳳凰鎮、つまり、鳳凰単叢烏龍茶の産地の出身でした。
更に、この生産者の家族は代々鳳凰単叢烏龍茶を加工している本格的なお茶一家と言うことが後に判明しました。鳳凰単叢烏龍茶と言えば、数あるお茶の中でも特に加工が複雑で、高い技術を非常とするお茶です。

彼は鳳凰単叢烏龍茶の長男としで生まれたものの、幼い頃から人並み外れてお茶が好きだったことから、家業を継がず、より良いお茶原料を求め、中国のお茶産地を旅してまわっていたそうです。様々な地域をまわった結果、彼が行き着いたのは雲南省でした。雲南省には実生(種から撒かれたお茶)の自然栽培茶が残っており、無肥料のお茶が生み出す自然な味わいに深く感銘を受けたそうです。彼が目を付けたのは、雲南省の中でも特に昔ながらの農業が残っている、臨滄のミャンマー国境付近、雲南省の臨滄馬鞍山周辺地域ででした。

異色を放つ潮州人

因みに、「潮州」は広東省に位置し、功夫茶(工夫茶)の発祥の地として知られております。私の経験では潮州人は極めて勤勉で細部に関して非常にこだわりを持つ民族です。大げさかもしれませんが、私はよく潮州人は日本人よりも勤勉だと友人に話すことがあるほどです。潮州人は世界でも成功をおさめている人が多く、香港の富豪である李嘉誠をはじめ、タイで成功を収めている富豪の多くも潮州人であることが良く知られております。

事前予約による特注で実現したお茶

昨年この生産者と話をした際、私が仕入れのために鳳凰鎮の烏崠山を毎年訪問しているという話をしました。彼は非常に喜びました。私が鳳凰単叢烏龍茶に深い興味を持っていることを知った彼は、あるお茶を提案してくれました。それは鳳凰単叢烏龍茶の基礎となる発酵スタイル(浪青)を取り入れ、烏龍茶とプーアル茶の特徴を併せ持つお茶です。鳳凰単叢烏龍とプーアル生茶の特徴を併せ持つお茶とはまさに夢のようなお茶です。私は1年間このお茶の事が頭から離れず、是非このお茶を作り上げたいと思い続けておりました。そこで、今年はシーズンが始まる前に雲南省へ入り、生産者に購入の意思を伝え、生産を行う上での各種基準を話し合いました。一般的なプーアル茶と異なり、この種のお茶は完全オーダーメイドで特注する必要があり、お茶の摘むタイミング、摘み方、取り扱いにはじまり、ありとあらゆる点を打ち合わせ、事前に生産を予約をする必要がありました。

功夫プーアル茶

功夫プーアル茶

功夫プーアル茶

作り方は鳳凰単叢烏龍茶とプーアル茶のハイブリッド

このお茶の生産工程は以下の通りです。

  1. お茶摘み:プーアル茶の基準にて1芯2-4葉
  2. 萎凋 & 浪青
  3. 殺青
  4. 天日乾燥
  5. 低い温度で火入れすることによる熟成

台湾の烏龍茶は微発酵であるため、萎凋&発酵は「揺青」と呼ばれます。「揺らす」という言葉の通り、穏やかな動きを加え、お茶の葉の縁部分だけを僅かに発酵させます。
それに加え、潮州の烏龍茶は、「浪青烏龍」と呼ばれます。「浪」という言葉のとおり、より荒々しくお茶の葉に動きを加えることで、発酵をより深く行います。
このように、鳳凰単叢烏龍茶の製茶技術を取り込むことで作り上げられたお茶ゆえ、また、これまでに全く無かった新しいカテゴリーのお茶ゆえ「功夫プーアル茶」という名称で呼ぶことにしました。功夫とは日本語では工夫と書きます。功夫とは潮州式のお茶作りの代名詞として使用される言葉で功夫プーアル茶とは、つまり、潮州式の製茶技術を取り入れて作られたプーアル茶という意味です。本商品は馬鞍山のお茶を原料に作られていることから、お茶の名称は最終的に、馬鞍山 功夫プーアル茶としました。

功夫プーアル茶

完熟マンゴをイメージするような甘い香り

非常に硬い名称と、複雑な工程で作られる馬鞍山功夫プーアル茶ですが、実際に飲んでみると万人受けする味香りに驚かれるかと思います。まず、馬鞍山の原料茶葉を使用しているだけあって、非常に深いコクと広がるのあるふくよかな味わい(ボディ)がします。

香りですが、紅茶、白茶、鳳凰単叢烏龍茶、東方美人、ビンテージ物のプーアル生茶の全てのお茶が凝縮したような香りがします。私が最初に飲んで時に受けた印象は、完熟マンゴの香りだと思いました。また、桃のような香りもするように思いました。このお茶は紅茶と烏龍茶の個性が強く感じられますが、同時にプーアル茶としての個性も兼ね備えており、当然、熟成に対しても面白い熟成が期待できるお茶です。自然栽培にてウンカに汁を吸われた茶葉を使用しているだけ有り、今後の熟成により蜜の香りが形成されることも期待できます。

功夫プーアル茶

功夫プーアル茶

一般的なプーアル茶は数人の茶師が一人の監督の下で働き、共同作業により製茶されます。このため、比較的効率よくお茶を作る事が出来るのですが、本商品は、潮州出身の一人の茶師のみが自ら手作りするひつようがあります。当然、雲南省で他に「浪青」の発酵技術を有する人はおりません。今年は雨が多く晴れた日を見ての製茶作業だったため、仕入れられた量は私が希望した量よりも少なめでした。このうち、半分を餅茶200gに緊圧し、残りの半分を散茶にて販売することにしました。馬鞍山産の原料が非常に高い為に、高価なお茶ではありますが、とてもお薦めのお茶です。


ブドウのような甘いフルーツ香がする鳳慶野生白茶を発売

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カメリアタリエンシス種の野生のお茶を用いて白茶を作りました。鳳慶野生白茶(フォンチン/フェンチン)の名称で発売しました。

地図中の赤丸の地域が鳳慶です。

紅茶の産地で有名な鳳慶の山奥で採れた野生茶

HOJOでは既に幾つもの野生のお茶を発売しておりますが、「野生」と名の付くお茶は、自然の山に生えているお茶で、農家で作ったお茶ではありません。
鳳慶野生白茶は臨滄の鳳慶という地域の山に自生する野生茶です。鳳慶という地名は知っている人には非常によく知られている地域です。実は鳳慶は雲南紅茶の有名産地です。
ただ、鳳慶野生白茶は紅茶とは全く関係無く、鳳慶の奥地にある山で収穫されました。

アクセス困難な地域ゆえに限定量のみ入手

実はこのお茶の産地は非常に切り立った山の奥地であることから、アクセスが容易ではありません。今年のシーズン前、生産者に特注依頼をするために訪れたのですが、その後、このお茶が生産できるかどうかが分からない状況が暫く続きました。と言うのも、3月の末に雨が何日か続いたこともあり、山道が非常に滑りやすく、現地に行くことが非常に困難な状況となりました。その結果、お茶摘みを依頼していた農民が、行くのを渋りだしました。幸いにもその後天気が続いため、何とか、お茶積みをして貰うことが出来ました。このような状況から予定していた数量よりも少ない量しか仕入れることができませんでした。

毛茶の状態の鳳慶野生白茶

毛茶をいれたところ

嵩の点と熟成保存のために緊圧

最初は散茶の状態で販売することも検討していたのですが、カメリアタリエンシスの野生茶はもともとの茶葉のサイズが大きく、嵩がありすぎることから、当初の計画を変更し、餅茶に緊圧することにしました。出来上がった茶葉は迷彩色の服のようなカラフルな色をしており、ある意味非常に美しい茶葉です。緊圧したもう一つの理由は、白茶は熟成によりフルーツのような香りを形成するためです。

味重視のため長時間の萎凋

近年、中国で最も白茶が生産されるのは福建省です。近年の福建省における白茶の傾向としては、見た目が異常に気にされます。福建省のお茶市場へ行くと、多くの人は見た目で白茶を選んでおり、そのことは白茶の生産方法にも影響しております。白茶は本来長時間萎凋をした方が、味がまろやかになり、甘みが増し、舌に残るざらつきも減少します。しかし、見た目を重視した場合、短時間の萎凋で仕上げた方が、緑色が残り見た目は美しくなります。
私はあくまで味香り重視で作りたかったため、萎凋に関しては3日間、多くの茶葉が褐色化するまで萎凋しました。このために、鳳慶野生白茶の外観は軍隊の迷彩服のようになっております。ただ、ひとくち飲まれると、長時間萎凋をする意味を理解して貰えるはずです。

野生白茶

これまでに体験したことのない香り

鳳慶野生白茶を初めて飲んだときは正直衝撃を受けました。味は非常に透明感があり、やわらかく、ふくよかさと深い喉越しを伴います。人によって感じ方は異なるでしょうが、若いマンゴ、蘭の花のような、ブドウのような、パイナップル、ライチの香りを伴う、お茶とは思えないような甘い香りがします。香りがあまり強く感じられない一般的な白茶とは一線を画し、花やフルーツの香りが明瞭に感じられます。もちろん、熟成を加えることで、より濃厚な香りに変化するのでしょうが、私としては今のままの香りでも十分に満足です。もし熟成をすることで、より濃厚な香りを作り上げたい場合、未開封の状態で3年ほど保管されることをお薦めします。もちろん、3年以上保管しても良いのですが、3年も保管すれば十分に変化を体感できるはずです。

伊賀天然朱泥茶器の開発の進捗

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これまで伊賀の朱泥を使った茶器の開発を行ってきました。7月までに発売する予定で計画を進めてきたのですが、技術的な問題に直面したことから発売予定が遅れております。

急須を試作したところ問題に直面

既に土の選定が終わっており、精製方法を試行錯誤することで、味に関しても調整が終わっておりました。ところが、実際に急須の試作を行ったところ、ある問題に直面しました。

お茶をいれて放置しておいたところ急須の下半分が湿った。

お茶をいれて静置しておくと、急須の表面が徐々に湿り、僅かにお茶が浸み出てくる問題に直面しました。宜興の茶壺でもお茶が浸潤する茶器はあり、お茶マニアによってはこれらの現象を逆に良しとする人もおりますが、私としては、出来れば、もっと焼きしめることで湯が染み出してくる問題を解決したいと思っております。伊賀の朱泥の場合、もともと琵琶湖の底に堆積した朱泥そうゆえに、砂質の粗土が含まれており、耐火温度が高いために1150℃前後の温度で焼いただけでは、焼シメが足らないようです。その後、温度条件を変えるなど、何度か試作を行ったのですが、まだ、完全に問題が解決できておりません。

伊賀朱泥

左手前の怪しげな2つのカップは私が実験用に作ったもの

この対策としては以下の方法を検討中です。

1.焼成温度を上げる・焼成時間を延長する

この方法は一番手っ取り早い方法ですが、焼成温度が上がれば上がるほど、より多くの粒子が融点に達し、溶ける訳なので、陶器の多孔性はやや低下しますします。ポテンシャルが高い土ゆえ、正直多少多孔性が低下しても性能の点ではあまり問題ないのですが、私が懸念しているのは焼成温度を上げた場合、色がえんじ色になってしまうことです。更に、焼成温度を上げると、萬古焼のような小豆色に近い色合いへと変化します。折角の朱泥なので、私としては出来るだけ、朱色に仕上げたいというのが本音です。

2.酸化焼成をあきらめて還元焼成で仕上げる

還元焼成の場合、酸化よりも焼きしまります。また、還元にすることで、朱色を気にすることなく温度を上げられるため、温度を自由に調整することが可能です。実際の仕上がりは黒または小豆色になると思われます。

3.精製方法を検討する

より粒子を細かくするべく、異なる精製方法を検討するのも一案です。ただし、これには実験に時間がかかる事、また、精製を重ねるということは非常にコストもかかります。

今後、上記3つの案をより精査し、良い方法を見いだしたいと思っております。天然の土というのは、非常に扱い難い面もありますが、反面性能は突出しております。出来るだけ早く発売にこぎ着けたいと思います。伊賀朱泥の茶器の発売を心待ちにされているお客様には申し訳ありませんが、もう暫く時間をいただけますでしょうか。

ミャンマーとの国境近く2300mの自然栽培茶で作る岩鳴山古樹白茶

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岩鳴山古樹白茶

岩鳴山古樹白茶は、臨滄、ミャンマーの国境近くの地域の2300mの非常に標高の高い、自然栽培茶園の樹齢の古いお茶から作りました。
このお茶の特徴は、HOJOの白茶のラインアップの中でも最大クラスの非常に深い余韻と、滑らかな口当たりです。また、コク(余韻)が極めて強く、極端な話、鼻を摘んで飲んでもお茶の味わいを楽しむことが出来ます。馬鞍山古樹白茶はボディが強く、横への広がりが際だって感じられるお茶ですが、岩鳴山古樹生茶は、その強いコクに対し、ボディについては軽めです。このため、清らかで透明感のある飲み心地が感じられ、普段飲み用のお茶としてもお薦めです。

古樹白茶

古樹白茶

長時間の萎凋で作り上げられたダージリンのような香り

特筆すべき点は、約3日にも及ぶ、極めて長時間の萎凋です。近年の白茶の傾向として、緑の色合いを重視するあまりに、萎凋を短めに切り上げがちです。ただ、萎凋が短いお茶の場合、やや青臭さが感じられたり、渋味を呈しやすいという問題が生じがちです。このお茶を作るにあたり、私は原料の選定、摘むタイミング、作り方に至るまで、詳細を生産者と打ち合わせることで、前から興味があった、長時間萎凋バージョンの白茶を特注しました。お茶の色合いがベイジュ色になるまで長時間の萎凋を行いました。長時間萎凋により一般的な白茶と比較すると酵素発酵がより深く進み、その結果、口に残る甘みが増し、飲み心地も非常に滑らかになりました。お客様によっては、このお茶を飲まれた時、「ダージリンティのよう」という感想をくださりました。
古樹白茶

古樹白茶

緊圧する前の毛茶(原料茶葉)

古樹白茶

毛茶をいれたときの茶殻

完全な自然栽培のお茶

岩鳴山古樹生茶はもちろん、自然栽培のお茶を使用しております。お茶の木は少数民族の所有する山に喬木方式(お茶の木が1本1本独立して植えられている状態)で栽培されております。この地域では昔からの伝統が今も受け継がれており、肥料や農薬はもちろん、選定や雑草の除去も行われません。厳しい自然の生態系の中で生きるため、1本あたりのお茶の木から収穫できる茶葉の数は非常に少なく、肥料を与えて栽培するお茶の1/4程度かそれ以下の収量しか見込めません。ただし、その分、1枚1枚の茶葉にはミネラルやポリフェノールが凝縮されており、味わいがしっかりとした、飲み応えのあるお茶となります。また、豊富なミネラルとポリフェノールにより、お茶を飲むと体の隅々が温まり、内面からリラックスできそうです。

自然栽培茶

自然栽培茶

自然栽培茶の茶葉は小さく、また、成長が遅いため、光合成速度が遅くなり、それに伴い、葉緑素の量が減り、全体に黄緑色の茶葉になります。

自然栽培茶

熟成による楽しみ

岩鳴山古樹白茶は緊圧されており、餅茶200gに仕上げました。緊圧した1つの理由は、このお茶は、熟成により、全く異なるお茶かと思うほどに変化するためです。数年間の熟成で、蜜のような杏のようなマスカットのような香りが形成され、香り豊で華やなお茶へと変化します。長期の保存により、自分オリジナルの香りへと育て上げるのも楽しいと思います。

 

古樹白茶

鳳凰単叢烏龍茶2015の仕入で中国潮州を訪問

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潮州の鳳凰鎮に1週間ほど滞在し、鳳凰単叢烏龍茶の仕入をしてきました。鳳凰単叢烏龍はHOJOの看板商品の1つであり、必ず産地を訪問することを心がけており、今年まで6年間連続で潮州を訪問しております。

春ではなく今頃の時期に仕入に行く理由

鳳凰単叢烏龍茶の茶摘みは、4月に行われます。摘まれたお茶は、製茶され発酵まで行われた状態で、荒茶(中国では毛茶と呼ばれる)となり、保存されます。
この荒茶の状態では、鳳凰単叢烏龍茶独特のあのフルーツのような香りはしません。どちらかというと、セロリのような、青臭い香りがし、雑味すら感じられます。
この荒茶は、お茶の仕上げ業者によって買い取られ、彼らは「炭焙」という、炭火による火入れ作業を行います。炭焙は最低でも24時間ほど継続的に行われます。2時間おきに火から外し、水分の再分布をする必要があるため、仕上げ業者は連続して睡眠をとることが出来ません。鳳凰単叢烏龍の場合、弱めの温度で長時間焙ることで、焦げ臭を一切形成することなく、むしろ熟成を促し、それにより甘い香りを形成します。炭焙の結果、荒茶の状態では青臭い香りがしていたお茶が、透明感のある、フルーツのような洗練された香りへと変化します。通常、炭焙が行われるのが6-7月のタイミングであるため、7月に現地を訪れるのがちょうど良いのです。
鳳凰単叢烏龍茶のように、木によって、或いは、炭焙の仕方によって香りや性格が異なるお茶の場合、現地で選ぶことがとても重要になります。更に、多くのお茶については、テイスティングをした時点で、更なる炭焙を行うための条件を生産者と話し合い決めます。お茶によって、更に火をいれた方が良い場合、どのような条件で火入れを行うか、その場で話し合い、決めることが出来と言う点で、現地を訪問することは仕入をする上で非常に重要です。

烏崠山にはお茶の老木が豊富にあります。

烏龍茶の試飲マラソン

今回も例年と同じく合計20種類以上のお茶の仕入を行いました。昼頃に現地に着いたのですが、試飲は延々と続き、気がつけば夜中の3時になっておりました。
ワインの試飲の仕方と同じく、お茶の場合も飲み込まなくても、お茶の評価は出来ます。ただ、鳳凰単叢烏龍茶は高級なお茶なだけに、生産者からのプレッシャーもあり、飲まないわけにはいきませんでした。
12時間以上試飲を続けた結果、最終的には100種類近いお茶を飲みました。お茶が幾ら体によいとは言っても、飲み過ぎはやはり良くありません。流石に翌日は、登山帰りのように体が重く感じられました。

手前にあるのは、いれ終わった茶葉の山

中国の烏龍茶の正規輸入

中国の烏龍茶を正規に輸入する場合、農薬の検査を行う必要があります。正規の輸入とは、法律に則って、関税に関する手続きと、検疫手続きをしたうえで輸入することです。
中国からEMSなどでお茶を輸入すると、個人の荷物として認識され、通関をスルーする場合が多いため、お茶の場合、正規の輸入手続きを踏まずに輸入されることが多いのが実情です。HOJOでは常に正規輸入をしております。
烏龍茶の正規輸入は一筋縄ではいきません。日本での輸入時には、フィプロニルという農薬の検査が必要です。数年前に福建省のお茶に関し違反例が多かったことから、現在では、中国にてCIQという検査機関にて輸出前検査を行い、合格判定が出た商品でないと、日本国内での検査を受け付けてくれません。ただ、CIQの検査は1回だけではなく、サンプルを2回抜き取られることも一般的です。一回あたり500g-1kgものサンプルが抜かれ、更に、検査代も安くありません。日本と中国で要する検査コストはサンプルとして抜き取られる商品代も併せると10万円近い額に達します。

品質的にも安全面でも優れた産地である烏崠山

鳳凰単叢烏龍茶に関して最も有名な産地は烏崠山という名称の山です。ただし、現地へ行けば分かる事ですが、烏崠山以外でも至るところに茶園が広がっております。実際、鳳凰単叢烏龍茶の名称で流通しているお茶の8-9割以上が烏崠山外の茶園で作られたお茶と言えます。烏崠山産のお茶が優れているのは、①粘土質の赤土が豊富にある点、②烏崠山に植えられているお茶の木の樹齢が非常に高いこと、③烏崠山では標高700-800m以上に位置する茶園では、一年に一回しか茶摘みをしない、④完全に自然栽培にて管理されており、農薬も肥料も使われていないことがその理由です。鳳凰単叢烏龍茶に関しては、HOJOでは360種類の農薬をテストすることで安全性を確認しておりますが、烏崠山産の標高が高い茶園のお茶に関しては、これまで全く農薬が検出されたことがありません。烏崠山でも標高が低い地点には更に安いお茶がありますが、農薬の問題ゆえに、仕入を行っておりません。

鳳凰鎮から臨む烏崠山

安いお茶にはそれなりの理由がある

烏崠山以外の地域や標高の低い位置にある茶園のお茶は、年に5回(早春、晩春、夏、秋、冬)、茶摘みが行われ、農薬が使用されている可能性も否定できません。鳳凰単叢烏龍茶の値段はピンキリで、例えばHOJOで販売している「蜜蘭香」という銘柄でも、安いお茶を探そうと思えば、半分どころか、1/20の値段でも茶は入手可能です。
安いお茶はそれなりの理由があり、まず間違いなく烏崠山以外の地域で作られたお茶であり、収穫に関しても春ではなく夏や秋、木の樹齢が若く、火入れも中途半葉となっていることが一般的です。
「鳳凰単叢烏龍茶はとても渋いのでいれ方が難しいですよね?」と良く聞かれますが、本来、質の高い鳳凰単叢烏龍茶については渋みや苦みは殆ど有りません。渋いと言うのは、夏のお茶から作られている典型的な例です。
また、値段の安いお茶はそれに相関して、フルーティな香りは期待できません。焙煎も炭火ではなく、電気オーブンが使われていることが多く、値段相応の品質となります。

7月に訪問した際、お茶が道路の真ん中で加工されているのを目撃しました。烏崠山産の春茶がこのような扱いを受けることは決してありません。7月摘みの、品質(価値)の低いお茶になると、扱いも雑になり、品質もそれ相応になるという一例です。

今年も20種類近いお茶を仕入れましたが、輸入をするに際して、検査を何度も行う必要があるため、入荷については来月以降になる予定です。鳳凰単叢烏龍茶の場合、新茶も良いですが、無酸素の状態で数年熟成させた方がより甘い香りが形成され、香り自体も強くなります。あまり、何年も保存しすぎると、香りの個性が変わってきますが、1-7年くらい無酸素で保存された鳳凰単叢烏龍茶はむしろ新茶よりもお勧めします。

お茶の個性を決める火入れの3つの目的

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製茶工場での加工直後のお茶は粗茶(日本)とよばれます。中国では粗茶と言う呼び方はせずに毛茶と呼ばれます。通常、「乾燥後のお茶」がこれに相当します。
お茶の場合、農家から直接購入する場合を除き、粗茶(毛茶)の状態で流通する事は少なく、通常は仕上げという工程を経て商品になります。これは日本茶に限った事ではなく、台湾や中国のお茶も一緒です。
仕上げで特に重要なのが、火入れと呼ばれる作業です。火入れと言っても、実際に火を加えるわけではなく、熱風や輻射熱などでお茶を加熱処理する作業の事です。また、「火入れ」は中国や台湾では「炭焙」と呼ばれます。生産業者によっては、電気ヒーター式の熱風乾燥機を使う場合もありますが、言葉としては「炭焙」と呼ばれる事が一般的です。

火入れと言っても3つの異なる目的がある

火入れというと、お茶に熱を加えて武夷岩茶や焙じ茶のような香ばしさを出す工程と思われがちですが、火入れには3つの全く異なる目的があります。

  1. 青臭さと舌のざらつき感を除去し、クリアーな飲み心地にする
  2. 熟成香を形成する
  3. 香ばしさを付与する

1. 青臭さと雑味を除く

工場で作りたてのお茶である、粗茶(毛茶)は新鮮と言えば新鮮なのですが、この状態のお茶は必ず青臭い香りがしております。
この青臭い香りは、中国や台湾のお茶業界では「青味」と呼ばれます。因みに、「青味」と「清香」とは全く異なる意味なので混同しないようにしてください。
中国茶でも日本茶を問わず、共通して言えることですが、粗茶(毛茶)の場合、舌触りに関しても雑味が感じられます。
このような理由から、青臭さを除去し、同時に甘い香りを引き出し、また、雑味を除去してクリアーな舌触りにするためには、低めの温度での火入れ作業が必要となります。
台湾の高山茶(清香タイプ)は花のような香りがします。一見すると、火など全く入ってないような気がするでしょうが、実は上述したような低温での火入れがしっかりと行われています。HOJOで販売している凍頂烏龍茶、阿里山茶、翠峰茶、梨山茶など、火は全く入ってないように思われるでしょうが実はちゃんと火入れが行われております。火入れ前の高山茶は、刈たての草のような青臭さと舌にこびりつくような雑味を呈します。このような感覚は製茶後数日が経過するとより増幅して感じられます。

2. 火入れで熟成を促進しフルーツのような甘い香りを引き出す

2つめはお茶の熟成を目的とする火入れです。お茶は熟成により甘いフルーツのような香りを形成します。
代表的なお茶は鳳凰単叢烏龍茶です。甘いフルーツの香りで知られる鳳凰単叢烏龍茶も、粗茶は青臭さを伴い、セロリのような香りがしております。また、雑味が強く、飲むと舌に違和感が感じられます。しかし、炭火による低めの温度で長時間あぶることで、粗茶からは想像できないような甘いフルーツの香りが形成されます。ただし、面白い事に、鳳凰単叢烏龍茶の粗茶を脱酸素状態にて、数年間、年間平均気温の高い場所に保管すると、不思議にも火入れ熟成をしたお茶と同じような甘い香りが形成されます。実は火入れによる熟成もこの原理の応用であると考えることが出来ます。熟成をするためには「保存温度 x 期間」が重要な要素となります。以下のように保存する温度条件が変わると、目的とするフルーティな香りはより早く形成されます。つまり、保存温度が上がれば上がるほど、熟成時間が短くなると仮定することが出来ます。焦げない程度の温度で一定時間火入れを行うと言うことは、まさに、保存熟成と同じ原理になります。
温度が高いほど熟成が早く進む、熟成の進み方=温度 x 期間と定義した場合、以下の種々の異なる条件で熟成しても、同じような熟成結果が得られると仮定することが出来ます。マレーシアの倉庫における年間平均温度25℃位にて、3年でフルーツのような熟成香が形成されるとすると、異なる条件でも同じような熟成をすることが出来るという仮説を以下に紹介します。

25℃で3年

30℃で2年

35℃で1年

40℃で半年

45℃で3ヶ月

50℃で1ヶ月

60℃で10日

70℃で3日

80℃で1日

火入れをするさい、100℃を超えるとお茶は焦げ始めます。従って、焦げない範囲の温度にて20時間以上火入れをすることは、25℃で3年熟成するのと同じ熟成効果得られると推察することが出来ます。鳳凰単叢烏龍茶の火入れはまさにこの論理で行われております。例えば、清香タイプの蜜蘭香をマレーシアのような暑い国で2年も保管すると、濃香タイプとそっくりの香りへと変化します。

鳳凰単叢烏龍茶の毛茶(火入れ前)

3. 火入れにより香ばしい香りを形成する

火入れの3つめの目的は「香ばしい香り」を形成することです。これはつまり、100℃以上の温度を加えることで、部分的に茶葉を焦がします。日本における焙じ茶、武夷岩茶、台湾の炭焙烏龍などにはこの技術が使われております。
ただ、武夷岩茶、台湾の炭焙烏龍の場合、甘みを同時に引き出すために、2の火入れ熟成に準ずる技術も組み合わされておりそう単純ではありません。
日本の煎茶の場合、火入れと呼ばれる作業は香ばしい香りを引き出す目的が大きく、特に肥料栽培でアミノ酸を多く含むお茶の場合、高い熱を加えることで、メイラード反応により独特の香ばしい香りが生じます。
私は、日本茶でも、自然栽培茶のようにカテキンを多く含むお茶となると、むしろ、1の目的の火入れを行うのが理想だと考えております。つまり、草のような青臭さを除き、舌触りをソフトにし、甘い香りを引き出します。近年、私は小型ではありますが、業務用の火入れ機を台湾から購入しており、日本茶については1.の目的の火入れ作業をすることで、自分の理想とする香り・味に仕上げるようにしております。

どんなお茶の味もふくよかにする秋津無名異急須

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無名異焼
新しく秋津無名異という名の土の茶器を発売しました。土についての説明は商品の紹介ページでも記載しておりますが、念のために、ページ後半にてに同じ内容を紹介いたします。本稿では1番重要な点である、土の性能に的を絞って説明をしたいと思います。

http://hojotea.com/item/tozo_akitsu.htm
http://hojotea.com/item/tozo_akitsu_reduction.htm
http://hojotea.com/item/tozo_akitsu_tanka.htm

ボディを強力に高める秋津無名異

まず、秋津無名異を開発する上で最も重要視したのは、お茶をいれたときのボディです。ボディとはお茶を口にいれたときに感じられる味香りの広がりを指し、日本語ではふくよかさと呼ばれる感覚になります。例えば、ボディを高める種類の土で作られた茶器でダージリンティをいれると、香りが非常に華やかに感じられ、口の両脇に甘味が残ります。逆に野坂還元のようなボディが最小限になる土の場合、透明感のある落ち着いた香りへと変化し、華やかさは減少する反面、飲み込んだときに感じられる味奥行き、喉の奥からじわじわと戻ってくる余韻が強いお茶へとかわります。秋津無名異は、2つの天然土、秋津産の赤土と野坂産の黄土をブレンドして仕上げました。従って、ボディに加え、コクに関しても満足の行く仕上がりになっております。

お茶の性格を劇的に変える茶器

私自身、半年ほど前に作り上げた試作品の急須で色々なお茶をいれてみましたが、紅茶や台湾の烏龍茶はもちろんですが、プーアル生茶や白茶に対しても非常に相性の良い土であると感じております。例えば、岩鳴山白茶や古樹銀針のようにボディが軽めのお茶を、を秋津無名異の急須でいれると、ボディが増大することから馬鞍山古樹白茶にとても近い味わいになります。
お茶を美味しくするという使い方は勿論ですが、私としては秋津無名異の土を通すことで「お茶を別の性格に変える」という楽しみ方が好きです。特に、日本茶やダージリンのように比較的ボディの細めのお茶と組み合わせると、変化の幅が大きく面白いと思います。

3つの異なる焼き方

今回発売しました秋津無名異焼ですが、3種類のバージョンがあります。

  1. 酸化焼成
  2. 還元焼成
  3. 炭化還元

どれも同じ土で作られておりますが、焼き方により見た目が異なります。実は、見た目だけでなく、土がお茶の味に与える影響についても同じではありません。

酸化焼成

酸化焼成はボディが最も強い土です。この土は、強いボディゆえに紅茶や台湾の烏龍茶との相性が抜群に良い土です。酸化焼成とは釜の中に酸素がある状態で焼き上げた焼き物のことです。

無名異焼

還元焼成

還元焼成はボディ・コク共に酸化焼成と炭化還元の中間的な性格に仕上がっております。ボディは同じく非常に強い土ですので、紅茶や烏龍茶、または、ボディが弱めのお茶をよりふくよかにすると言う目的に適しております。還元焼成とは釜内部の酸度が限りなく低い状態で焼き上げた焼き物のことです。土に含まれる鉄が還元されることで、二価の鉄を含みます。

無名異焼

炭化還元

炭化還元の土はコクについては3つの焼き方の中で最大ですが、ボディに関しては、3つのなかでは最小です。ただし、秋津無名異自体がもともと非常にボディの強い土ですので、炭化還元でも十分なボディが感じられます。炭化還元はコクが強めであるため、幅広いお茶とあわせやすく、緑茶やプーアル茶をいれるのにもお薦めです。炭化還元とはもみ殻・おが屑・炭の中にいったん酸化焼成で焼き上がった茶器を埋め、1000℃以下の低温で蒸し焼きにすることで作り上げます。

無名異焼

無名異焼

 

—–以下秋津無名異の説明です—–

朱泥でも味への影響は千差万別

佐渡島は海底火山により形成された島ゆえに、多種多様な鉱物が産出します。特に旧相川金山で産出した金銀が有名ですが、この他にも胴やマンガンなど豊富な鉱物が産出しております。この、火山特有の地質ゆえに、佐渡の土にはミネラルが豊富に含まれており、その中でもHOJOでは朱泥に着目して、茶器をプロデュースしております。朱泥とは酸化第二鉄を豊富に含み、焼き上げると朱色になることから朱泥と呼ばれます。お茶の味を非常に円やかにすることから、佐渡では伝統的に無名異と呼ばれる朱泥の茶器が作られてきました。一般的に原土が黄色〜オレンジ色をしている土は朱泥と呼ばれます。

佐渡を始め、日本各所において朱泥系の土は昔から急須の原料として珍重されますが、朱泥だからと言って、どの土もお茶の味に対して良い効果があるわけではありません。実際、朱泥の種類の数だけ、お茶の味の代わり方にも違いが生じます。朱泥でも含まれるミネラルの種類や量によっては、味を良くするどころかむしろ、悪くする場合もあります。味を悪くするとは、つまり、余韻をカットし、味の奥行きを無くしたり、香りの広がりが無くなる、また、舌にざらつきを生じる等の感覚をさします。

旧相川金山の跡

大佐渡山脈

紅茶・烏龍茶・プーアル生茶との高い相性

今回紹介する秋津無名異という土は、ふくよかさを強力に高めます。ふくよかさとは、ボディと呼ばれお茶を口にいれたときの香りの広がり、口蓋部分で感じられるじんわりとした甘みをさします。紅茶にミルクを加えると、ミルクに含まれるカルシウムイオンの影響でふくよかさが高まりますが、秋津無名異で紅茶をいれると、ミルクがないにもかかわらず、香りに広がりが付与され、口の中いっぱいに広がる香りと、ふわっとした甘味が感じられます。この特徴は、台湾の烏龍茶、プーアル茶、ダージリンや中国産の紅茶に絶大な効果を発揮します。ボディを高める効果は、香りの感じ方も高める為、普段飲んでいる烏龍茶を秋津無名異の土でいれると、別の銘柄かと思うほど香りが鮮烈に感じられます。秋津無名異土によって高められるボディの強さは、HOJOの茶器のラインアップの中でも最大級です。

渡辺陶三氏

今では幻の土となった秋津無名異

佐渡島における無名異焼の土は伝統的に「野坂」と呼ばれる相川金山付近に位置する「野坂と言う部落」で産出する、非常に粘りがあり、黄色をしたの天然土と相川金山内、及び金山の近隣の山で産出する無名異と呼ばれる、粘度が少なく、原土が赤い色をしている土をブレンドすることで作られます。それに対して、秋津無名異は相川金山周辺ではなく、秋津と呼ばれる地域で産出した土に野坂の黄土をあわせております。秋津地域とは現在の佐渡空港が位置している地域であり、地域としては両津に属します。佐渡には加茂湖という汽水湖がありますが、この直ぐ脇の地域です。秋津地域はまた大佐渡山脈の裾に位置し、金北山という佐渡島最大の山の下流域に位置します。その昔空港の建設前に渡辺陶三氏が取得した土が倉庫に眠っていたのですが、テストピースを製作して試験をしてみたところ、意外にも非常に良い土だったのです。尚、今回製作に使用している秋津無名異の土が産出された場所には既に空港が建設されており、今後の同質の土を採掘することは出来ません。このため、渡辺陶三氏が保有する土が終わり次第この土は無くなります。

加茂湖

野坂の原土

味が非常に良いにもかかわらず急須に用いられてなかった秋津の朱泥

その昔は、秋津の土は瓦を焼くのに用いられており、急須づくりに用いられていたのはもっぱら相川産(相川金山周辺産)の無名異土でした。ただし、味の観点から評価したところ、驚くべき事に秋津の土は非常に突出する性能の土でした。日本の焼き物業界は、土と味の関係ではなく、焼き上がりの色合いや見た目、或いは歴史的な評判に基づいて土が選ばれることが多く、今回のように、マイナーだった土が実は味の点では非常に優れていたというケースは時々あります。野坂と秋津無名異のブレンド比や焼成温度を最適化するため、サンプルを焼き上げ味のテストを繰り返した結果、最終的に焼き上がりの質感と、味の両方の点で最適化することができました。

お茶のテイスティングに必要な準備運動

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私が仕入をするときは、味や香りの深さ、広がり、舌触りの滑らかさ等、各項目ごとに評価を行い、仕入を行います。特に中国茶ともなると、春の2週間くらいの間に、1年分のお茶を仕入れるため、産地でお茶の品質評価は私にとってとても重要な瞬間です。

お茶の品質評価をする前には体の準備が必要

実はテイスティングを正確にするためには、準備が必要なのをご存じですか?私は味や香りについてかなり正確に判断する自信はある物の、朝一番や長旅の後にいきなりお茶をテイスティングすると、果たしてそのお茶が良いお茶かどうか、見失うことがあります。このようなことがないように、私は重量なテイスティングをする前には、味覚センサーの感度を上げるための準備をします。

血液循環をよくする事で感度を上げる

重要なのは、血液循環をよくする事です。血液循環がよくなると、それに伴い味覚器官が活性化されます。その為に有効な方法は、色々あるのですが、私が良くやるのは自然栽培系のお茶などを事前に飲むことです。自然栽培茶を飲んでいると、手や顔が火照ってきますが、これは末梢血管拡張作用によるもので、味覚器官にも同様に血液が供給されます。
実際、テイスティングを始め、暫くお茶を飲みすすめると、コクの強弱などの味の違いが正確に分かるようになってきます。逆の考え方として、テイスティング開始直後は余りお茶の品質についてコメントをしない方が良いと思っております。感度が優れないうちに評価すると、的外れな評価をしてしまうためです。

運動も味への感度を高める

ジョギングや歩き回るなどの準備運動をするのも味覚の感度を高める方法の1つです。運動をすることで、血液循環が良くなり、味に対する感度がよくなります。


熟成や発酵に向くお茶と向かないお茶

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紅茶の発酵
お茶は生葉の状態では緑茶のような植物系の香りがしているのですが、上手に発酵や熟成をすることで花やフルーツのような甘い香りが形成されます。しかしながら、どのお茶でも発酵茶や熟成をすることで、フルーツや花の香りを引き出せるわけではありません。

お茶とフルーツの香りに共通する物質テルペン

お茶の発酵や熟成のさい、花やフルーツの香りに寄与する物質はポリフェノールです。ポリフェノールとは特定の構造(ベンゼン環に2つ以上の水酸基が付いた物質をポリフェノールと呼びます。)を分子内に持つ物質の総称です。お茶の場合、カテキン類、例えばカテキン、カテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等々のポリフェノールが存在することが知られております。
ポリフェノールが酵素によって、或いは、非酵素的に酸化することで生じる物質にテルペンと呼ばれる物質のグループがあります。テルペンとはイソプレンを構成単位とする物質の総称です。化学的なことはさておき、実はフルーツの香りもテルペンと呼ばれる種類の物質が関係しております。烏龍茶や紅茶の香りがフルーツや花の香りと似ているのは、フルーツや花に含まれる香り成分と同じ物質がお茶の発酵や熟成によって形成するためです。例えば、烏龍茶に含まれるゲラニオールと呼ばれるテルペンは柑橘系の果物に、リナロールはラベンダーやベルガモットにも含まれます。テルペンは、ポリフェノールが酸化する過程で形成されることから、烏龍茶や紅茶の甘い香りの形成にはポリフェノールが重要な役割を果たしており、当然、ポリフェノールの含有量が多いほどより豊かな香りが形成されます。

肥料を与えるほどポリフェノールは少なくなる

お茶に含まれるポリフェノールですが、実はお茶の栽培方法によって含有量が大きく異なります。
以前にお茶に与える肥料とポリフェノール、アミノ酸の含有量の関係を分析結果に基づいて調べたことがありますが、肥料を与えるほど、ポリフェノールの含有量は少なくなることが分かりました。肥料栽培と窒素肥料無しで育てられた自然栽培茶に含まれるポリフェノールの量は実に倍以上の差が認められました。逆に、肥料栽培をしたお茶にはアミノ酸(テアニン)が多く含まれておりました。

旨味成分は発酵してもフルーツや花の香りを生み出さない

お茶のアミノ酸は「旨味成分」と呼ばれます。「旨味」=「美味しい」ではありません。旨味とは味の素(商品名)のようなアミノ酸独特の味を表現する言葉に過ぎません。「旨」という文字が使われていることで、あたかもアミノ酸の多いお茶が良いように思われておりますが、発酵茶に関して言うなら、アミノ酸の多いお茶は、発酵しても花やフルーツ香が弱いお茶になります。お茶にアミノ酸が多く含まれている場合、発酵により甘露飴のような香りを形成します。これはメイラード反応と呼ばれる反応が関係しており、お茶に含まれるアミノ酸が糖やポリフェノールと酸化反応することで起こります。

熟成や発酵を上手に行うためにはポリフェノールの多い茶を選ぶこと

アミノ酸を多く含むお茶を紅茶に加工した場合、メイラード反応により甘露飴的な香りが形成されます。ただし、アミノ酸を多く含むお茶を長期間熟成をした場合、やや腐敗臭を感じるような独特の香りへと変化します。これは長期間熟成することで窒素化合物が更に酸化されて各種の揮発性物質が生成するためです。逆に、アミノ酸が極力少なく、ポリフェノールの多い無肥料・低肥料栽培のお茶の場合、熟成によって、フルーツや花のような香りを形成します。熟成というとプーアル茶がよく知られておりますが、実はプーアル茶以外にも、ダージリン、烏龍茶、白茶を始め、日本の緑茶でも「適切な保存法による熟成」をすることでフルーツや花のような甘い香りが形成されます。ただし、重要なポイントはポリフェノールを多く含むお茶を選ぶことです。ポリフェノールを多く含むお茶=無・低肥料栽培茶であり、その究極は自然栽培茶だと思います。ダージリンで積極的に取り組んでいるバイオダイナミック農法も、窒素肥料を極力使わない農法であり、そもそもの目的はポリフェノールが豊富なお茶を作ることで、より強いフルーツや花の香りを作り出すためです。ダージリンでも窒素肥料を豊富に与えて栽培したお茶やアッサムティの場合その多くが、フルーティと言うよりも甘露飴に近い香りがします。

自然栽培茶

雲南省の自然栽培茶


雲南省の自然栽培茶

雲南省の自然栽培茶


肥料栽培のお茶

コクの強いお茶にはポリフェノールが多く含まれる

肥料栽培茶と自然栽培茶(無肥料栽培茶)を比較すると、自然栽培茶にはダントツで強いコクがあります。逆に、自然栽培茶に窒素肥料を与えると、お茶の収穫量は増えるものの、コクは減少します。つまり、お茶に含まれるポリフェノールの量は「コクの強さ」と比例関係にあります。窒素肥料を減らすほどポリフェノール含量が増え、コクが強いお茶になります。考えてみれば当然のことで、肥料を減らせば減らすほど、一本の木がつけることができる葉や枝の数は減り、また、葉のサイズは小さくなります。また、お茶の成長速度も遅くなることから、一枚のお茶に根から吸収されたミネラルが集中すると考えることが出来ます。お茶を熟成したい場合、或いは、生茶から発酵茶をつくる場合、ポリフェノールを豊富に含むお茶、つまり、コクがしっかりとしたお茶を選ぶことが重要なのです。

色ガラスで顕著に変化するお茶の味

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ガラスでもお茶の味が変わる
お茶をいれるとき、「どの材質でいれるとお茶本来の味わいを感じる事が出来るだろうか」という議論になることがあります。
一般的に、ガラスが一番ニュートラルだと思われておりますが、実は必ずしもそうではないという話をしたいと思います。

ガラスとは

ガラスとは正式にはガラスという材料があるわけではなく、ミネラルを加熱することで、それが液体化したものが冷えて固体化した物をガラスと呼びます。このため、ガラスには何千と種類がありますが、一般的にはケイ酸塩を主成分とするケイ酸ガラスをいわゆるガラスと呼ぶそうです。詳しくはネットの情報などをご参照ください。

ガラスも水に溶けイオンが溶出する

急須などの陶器にお茶をいれると良くも悪くも味が変化します。コクやボディを高めることで味の立体感を増す素材もあれば、逆にコクやボディをカットし、渋味を呈する急須まで様々です。これには陶器から溶出するミネラルイオンが関係していると考えられております。
それに対して、ガラスの場合についてはニュートラルと思われがちです。ガラスの急須でお茶をいれたり、グラスでお茶を飲んでいる限り味は変化しないというのが一般的です。しかしながら、実はガラスでもお茶の味が変化します。
ガラスからはミネラルは全く溶出しないと信じて疑わない人も多いかと思いますが、実はイオン(Naイオン)は溶出します。以下にガラスからイオンが溶出することに触れているリンクを紹介します。

「ガラスと水」中島硝子工業株式会社
http://www.ngci.co.jp/tech/tech_kn23.html

「実験器具に用いられる素材の特徴」公益社団法人 日本分析化学会
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2011/201101minifile.pdf

「イオンクロマトグラフィーQ&A 溶離液の調製」島津製作所
http://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/faq/ic/ic1.htm

「ガラスの耐水性」(独) 産業技術総合研究所 山下勝 氏
http://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/102-pdf/+102-p045.pdf

「ガラスより水中へ溶出するアルカリ・イオンの溶出量と溶出時間および溶出温度との関係式(第2報)」矢田部 俊一
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000216271

色つきのガラスは飲み物の味を劇的に変化する

ガラスでも切り子やビール瓶のような色つきのガラスの場合、色を付けるために、他の金属を加えます。詳しくは、以下の、「日本硝子工業会」のページによると、ガラスに色を付けるためには以下のようなミネラルが添加されます。色つきのガラスの場合、着色に用いられた金属の影響で、味は更に劇的に変化します。

色 着色剤

紫 マンガン+銅、コバルト
青 コバルト、銅
緑 クロム、鉄、銅(緑系統の色はクロムが一般的)
緑(蛍光) ウラニウム
黄 銀、ニッケル、クロム、カドミウム
茶 鉄+硫黄(還元剤として炭素を一緒に使う)
黄赤 セレン+カドミウム
赤 金、銅、コバルト、セレン+カドミウム
赤紫 ネオジム、マンガン
黒 濃い色を出すいろいろな着色剤を混ぜ合わせる
(Mn,Cr,Ni,Co,Fe,Cuなど)
乳白 ふっ化カルシウム、ふっ化ソーダ、りん酸カルシウム

私の経験上、色つきのガラスは顕著に味に影響します。もしご家庭に青いガラスがあれば、それでお茶を飲んでみてください。信じられないほど、コクがなくなり、同時に舌に残る渋味が強く感じられます。上の資料によると、青いガラスにはコバルトや銅が添加されております。

アルミ缶だけでなくビール瓶も味に対して影響する

缶ビールと瓶ビールと比較すると、瓶ビールの方が美味しいですが、それは、缶ビールの殆どがアルミ缶であり、アルミが味に悪影響を与えるためです。ペットボトル入りのコーラ、お茶、日本酒などをきれいに洗ったアルミの缶に入れて飲んでみると、アルミの影響が良く理解できます。もっと簡単な実験方法としては、二つの同じ容器にいれたお茶やジュースを準備し、その一方にアルミのプルトップを入れてみてください。アルミにより、コクもボディも切り捨てられ、代わりに非常に強い渋味が舌に残ります。余談ですが「コク・喉越しが云々」と言っている缶ビールの宣伝を見ると、悲しくなってきます。
逆に瓶ビールは美味しいというのは多くの人が認めるところではないかと思います。瓶はガラスなので味に影響しないと考えられておりますが、前述したとおり、そうではありません。もし、機会があれば、ビール瓶にお茶やコカコーラを入れ、再度、グラスに注ぎだして無処理のものと比較してみてください。「え?」と驚くほど味が変わります。コクがカットされ、代わりにボディと渋味が増します。つまり、工場で作りたてのビールと瓶に詰められた直後のビールの味は既にその時点で異なるのです。酸化を防ぐために茶色の色を付けているのですが、透明な瓶を紙で覆うなど別の方法を考えたら、ビールはもっと美味しくなるはずです。

クリスタルガラスはボディと渋味を増す

クリスタルガラスには一般的に酸化鉛が含まれております。クリスタルと普通のガラスでワインやお茶の味を比較すると、味が劇的に異なる事に気がつきます。クリスタルはボディを非常に高めます。例えば、台湾の阿里山茶をクリスタルで飲むと、まるで凍頂烏龍茶のような味になります。また、ブルゴーニュのワインをクリスタルのガラスで飲むと、ボルドーのワインのようなフルボディの味に変化します。クリスタルは味と香りの広がりが増し、非常にふくよかな味になります。ただ、クリスタルの場合、良いことばかりではありません。クリスタルを通すことで、口に残る渋味が形成されます。お茶をクリスタルで飲むと、口に残る渋味が非常に気になり、私はあまり楽しむことができません。ただ、ワインをクリスタルで飲んだ場合、ブドウの渋味とクリスタルによる渋味がうまいことシンクロし、意外に気になりません。なお、同じクリスタルでもメーカーによって味に違いがあり、ボディや渋味の程度にもメーカー毎に差があります。

まとめると、ガラスでも微量のイオンが水に溶出します。色ガラスの場合、着色に使われている金属イオンが味に影響します。ガラスとはいえども、味のことを意識しながら選ぶことが大事だと思います。因みに、ガラスの中でもホウケイ酸ガラス(パイレックスの商品名)はイオンの溶出量が非常に少ないガラスです。

なぜ中国茶をいれるときに湯で洗うのか?

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プーアル茶
中国茶をいれるとき茶葉を熱湯で洗いますが、なぜそうするか理由をご存じでしょうか?
中国茶は汚いから、洗わないと農薬まみれだから、ばい菌を殺菌するため等々説を唱える人もおりますが、それらが理由ではありません。
お茶の芽が出てくるときにわざわざ農薬を使う農家はおりません。仮に農薬が使われていた場合、農薬はお茶の表面ではなく、お茶の内部に入り込んでおり洗ったところで農薬を除去する事は出来ません。

洗茶をする3つの理由

私は洗茶(お茶を熱湯で洗うこと)には以下3つの目的があると考えております。

  1. 茶葉を開かせる
  2. 茶葉を温め湯の温度が下がらないようにする
  3. 短時間でお茶をいれる為の下準備

1. 茶葉を開かせる

台湾の烏龍茶、安渓の鉄観音などは茶葉が粒状の塊をしております。これらのお茶の収穫時には1芯3葉以上と、比較的成長してから収穫されるのですが、包揉という独特の揉捻方法により、堅い粒状に整形されます。もし、洗茶をせずに湯を注いだ場合、湯が触れるのはお茶の表面だけであり、粒状になっている茶葉の内部には湯が浸透しません。同じく、緊圧加工をして作られるプーアル茶についても、硬く整形されているため、ただ湯を注いだだけでは、内部まで湯が浸透しません。
烏龍茶
これらのお茶は洗茶を1回か2回することで、お茶が徐々にふやけ、ほぐれてきます。因みに、質の良い茶葉ほど、茶葉が開く速度が速いため、洗茶をする際の時間は短めでOKです。

2. 茶葉の温度をあげることで湯の温度が下がらないようにする

烏龍茶や紅茶の香りや味はポリフェノールの発酵(酸化)により形成されるテルペンやポリフェノールの酸化物(ポリキノンや重合ポリフェノール)によって構成されております。したがって、発酵茶を美味しく飲むにはテルペンやポリフェノールをより効率的に抽出することが重要です。テルペンやポリフェノール酸化物の場合、親水性が低めゆえ温度が高いほど効率的に抽出することが出来ます。

通常、沸騰した湯は100℃と思われておりますが、実際にはかってみると、火を止めた瞬間に湯の温度は95℃まで下がっております。更に、湯が容器に触れると10℃、茶葉に触れると更に10℃下がります。つまり、容器を温めず、茶葉の洗茶もせずに湯を注ぎ入れた場合、気がつけば、湯の温度は75℃まで下がっております。75℃ではポリフェノール類をしっかりと抽出することが出来ず、烏龍茶や紅茶本来の味わいを楽しむことが出来ません。このため、沸騰水で容器を10秒間温め、その後、お茶に湯を通すことで、茶葉の温度も高くしたうえで、再び、沸騰水を注ぎ入れると言う方法が生きてきます。紅茶の場合、一般的に洗茶はしませんが、事項で説明する工夫式の淹れ方ですと、紅茶も洗茶をします。

2. 工夫式のいれかたのための下準備

自然栽培茶にはポリフェノールが多く含まれています。また、前述したとおり、発酵茶の香りや味の成分はポリフェノールの酸化物です。これらのお茶を美味しくいれるためには、ポリフェノールをより多く抽出する事が重要であり、高温でいれるのがポイントとなります。
工夫式
ただし、高温でいれると言うことは、お茶の成分が熱によってダメージを受けやすいという弊害もあります。この為、理想的な淹れ方とは、高温でかつ「短時間」で淹れる事です。高温で短時間のいれかたは、低温で長時間のいれかたよりも茶葉へのダメージが少なく抑えられます。ただし、沸騰水でも、数秒間お茶を蒸らしただけでは流石に味や香りが十分に出ません。そこで、予め、サッと短時間洗茶をすることで、茶葉をふやかし、数秒で味や香りを引き出すことが出来るように下準備をします。紅茶や緑茶の場合も、一瞬だけ沸騰水を通してサッと洗茶する方法が有効です。洗茶した後は、即入れるのではなく、10-20秒置き、茶葉を蒸らした方が、スムーズにいれることが出来ます。

 

お茶の保存容器とお茶の品質との深い関係

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お茶を紫砂の壺に保管すると良い、錫の茶筒に保管すると良い等々、お茶愛好家の間ではお茶の保管容器に関しても強いこだわりがあり、それについての効果の程は常に議論の対象です。
本コラムでは茶を保管する容器によってお茶の質がどう影響するのか説明したいと思います。

お茶の品質は保存容器の材質によって影響を受ける

まず、結論から言うと、お茶は保存する容器の材質により質が顕著に変化します。私はこれまで様々な材質の入れ物にお茶をいれては保存実験をしてきましたが、保管する材料によりお茶の質は全く別方向に変化します。急須でお茶の味が変化するのと同じく、保存容器に水やお茶などの液体を入れると味は良くも悪くも変化します。材料により、コクを増す、ボディを増す、コクを消す、ボディを消す、コクもボディもなくなる、渋味を呈する等々、変化は様々です。注目すべき点は、乾燥した茶葉を保存容器に入れて数週間以上保管したのちにお茶を飲んでみると、同じ材質の保存容器に水やお茶を通したときに感じられた変化と全く同じ方向性の変化が観察されます。例えば、錫製の急須でお茶をいれた場合、ボディを高めずに、コクを高める性質があります。新潟燕の槌器銅器、マレーシアのピューターウェアなどにお茶をいれると、滑らかで透き通るような味わいへと変化します。乾燥茶葉を錫の容器で保管した場合、同じくボディは増えず、コクが増します。同じ期間、袋に入れて保存したお茶と比べると明らかな差が感じられます。

新潟槌器銅器

新潟槌器銅器(外側は銅、内側は錫)

保存容器の材質によってはお茶が駄目になる事も

槌起銅器の茶筒の場合、表面は銅で出来ておりますが、内面は錫で鍍金されております。ただし、量産品など茶筒の中にはクロムメッキなどのものもあり、このような茶筒でお茶を保管すると、渋味が増すなど非常にマイナス面が増強されます。先日、私のスタッフの1人が、茶筒を通信販売で購入したのですが、内面の材質が錫ではなく、何らかのメッキになっておりました。彼女は「安かったから良いんだ」と言いはり、自分のお気に入りのプーアル生茶をいれておきました。その2週間ほど後に皆でそのお茶を飲んだところ、同じお茶とは思えないほど強い渋味が感じられ、コクも顕著に弱くなっておりました。内面の材質が不確かな茶筒で保管すると、大切なお茶が駄目になるという良い例です。

清雅堂の手作り茶筒

紫砂の壺でお茶を保存する場合

紫砂の壺にてプーアル茶や烏龍茶を保管するというのは中国や台湾では昔から良く行われている方法です。ただし、紫砂と言ってもいろんな種類があります。紫砂と言うのは「宜興産の土」を指す総称であり、紫泥とは意味が異なります。紫砂の中には、朱泥、段泥、紅泥、紫泥、緑泥等々様々な種類があります。
宜興の土で相対的に優れた性能を発揮する土は朱泥です。それに対し、茶色や紫色〜エンジ色系の土(紫泥)の場合、銅や亜鉛が多く含まれている事が多く、茶壺(急須)に使われた場、お茶のコクが無くなったり、舌に残る強い渋味を呈する土が大多数です。
壺にお茶を保管する場合も同様に、壺の材質が重要です。多くの場合、壺に朱泥のような良い土が使われていることは希で、あまり良い効果が期待できないのが実情かと思います。勿論、お茶をビニールに入れた状態であれば、問題ないでしょうが、その場合、わざわざ紫砂の壺で保管する意味が見あたりません。

なぜ、保存容器の材質がお茶の品質に影響するのか

なぜ、お茶を保管する入れ物の材質がお茶の味に影響をするかという理由ですが、おそらく、容器内に含まれる水分やお茶に含まれる水分を介して、お茶の成分の立体構造が変化するものと思われます。保存中のお茶の品質を変化させようと思った場合、容器の材質を考慮する以外に、例えば、貝殻や石灰岩のようなカルシウムを密封した袋にお茶と一緒に入れておくと、ボディが顕著に増します。また、コクが非常に強い自然栽培茶と凍頂烏龍茶を一緒に包装し、数週間おくと、凍頂烏龍のコクがまるで梨山茶のように強く変化します。勿論、自然栽培茶については新しめのプーアル生茶など、あまり個性が強すぎないお茶を選ぶ必要があります。炭を一緒に入れて保管する人もおりますが、これも炭に含まれるミネラルの作用によりお茶の質の変化を期待しての方法です。ただし、炭と言っても、様々な木から作られるため、木によってはお茶のミネラルとの相性が悪く、むしろお茶の質が悪化することもあるため、炭を使った保存法は無理にお勧めはしません。

まとめると、お茶を保管する場合、容器(直接お茶に触れる部分)の材質を意識することが重要です。同じ材料が急須に使われたとき、お茶が美味しくなる、または無変化であれば問題有りませんが、コクをカットするような素材の場合、長期保存により折角のお茶の品質が駄目になります。これらのことを考慮すると、無難な材料としては、ポリラミネートの袋、錫などではないかと思います。

お茶をブレンドする本当の意味

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お茶のブレンド
お茶に限った話ではありませんが、お茶をブレンドするというと、香りを組み合わせることで新たな香りを生み出すことを想像される人が多いのではないかと思います。しかし、私がブレンドを行う場合は香りだけでなく味を非常に重要視します。

お茶の個性を理解して組み合わせることで味の再設計

お茶をブレンドする際には、個々のお茶の味の特徴を把握する必要があります。例えば、お茶ごとに、ボディが強いお茶、コクが非常に強いお茶、ボディもコクも強いお茶、逆に、ボディもコクも弱いお茶の4種に大別することが出来ると思います。(勿論中間もありますがそれはここでは省略します。)お茶に精通したプロがブレンドをする場合、異なる味のお茶を組み合わせることで、味を再設計することがブレンドの主たる目的です。

コクが強いお茶

例えば、コクの強いお茶、つまり、余韻の強いお茶と言うのは素材の質が非常に良いお茶と定義することが出来ますが、コクが強くてもボディが弱い場合、一般受けしにくい傾向があります。私のラインアップで言うならば、周新強古樹生茶、月ヶ瀬在来煎茶、野生春芽2014、宮廷金毫、天池梨山茶などが思い浮かびます。これらのお茶は自然栽培や準自然栽培で作られており、味の余韻がとても深くて極めて品質の良いお茶なのですが、ボディが弱い為に、香りや味の華やかさには欠けます。事実、中国ではお茶がある一定レベルのコクを満たしていた場合、値段はボデイの強さに比例して高くなる傾向があります。ボディが強いと、香りの広がりが増すため、同じ香りでもより豊で華やかに感じられ、より多くの人、あまりお茶に詳しくない人にも受け入れられやすいのです。
野生春芽

ボディが強いお茶

これに対し、ボディが非常に強い反面、相対的にコクが弱いお茶もあります。例えば、高山紫茶2014年、独木春古樹生茶2012年、雁が音などがそれにあたります。これらのお茶は香りに広がりがあり、味も香りも非常に華やかに感じられる反面、余韻は軽めゆえ、サッパリしたのみ心地に感じられます。

コクとボディを互いに補う

コクが強いがボディの弱いお茶と逆にボディが強いがコクが弱めのお茶をブレンドした場合、コクとボディがお互いに補われ、味の相乗効果により奥行きがあり豊かな飲み心地のお茶に変化します。
例えば、コクが非常に強い反面、ボディが軽めの月ヶ瀬在来煎茶と、ボディが強い雁が音や朝宮煎茶をブレンドすると、香りや味の広がりも奥行きもバランスが良くなり、飲んだときの満足感が増します。
このように、ボディとコクのバランスを考慮しつつブレンドを行うと、お茶の個性が豊になり、お茶がとても楽しくなります。

3種類のお茶を使いより経済的なブレンド

私の場合、客様からの依頼で実際にお茶のブレンドを行う場合、①香りのみを純粋に担当するお茶、②コクを担当するお茶、③ボディを担当するお茶と、それぞれの役割を明確に切り分けます。一つのお茶に多くを求めないようにすることで、低いコストで万人に受けるお茶を生み出すことが出来ます。例えば、ダージリン、東方美人、鳳凰単叢烏龍茶、ローズ、ジャスミンパールに、コクとボディを高める為に自然栽培系のプーアル生茶を2種類ほど組み合わせると、まるで超高級茶のような味わいになったりして面白いです。

急須選びもお茶のブレンドと同じ考え方

実は、急須も同様の考え方で選択することが出来ます。例えば、ボディは非常に強いもののコクが弱めの高山紫茶や雁が音と、コクは高める物のボディを高めない野坂土を組み合わせた場合、ボディとコクのバランスが取れた味わいのお茶をいれることができます。また、コクは非常に強い物のボディが軽めである、月ヶ瀬在来煎茶、天池梨山茶、宮廷金毫のようなお茶を、ボディを高める土である、渡辺陶三氏の秋津無名異土や清水謙氏の無名異土と組み合わせた場合、ボディが広がり、お茶にもともとあったコクと相成って、非常に豊で「分かりやすく美味しい」お茶になります。

なお、HOJOでは現在ブレンドした製品は殆ど扱っておりませんが、今後、徐々にブレンド茶も紹介していきたいと思っております。また、業務用のお茶については、要望に応じてブレンドを行ないます。

2日酔いにお勧めのお茶

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二日酔いに効くお茶
お酒を飲み過ぎると翌日、気分が悪くなります。この二日酔いとまでは行かずとも、翌日の気分の悪さを驚くほど早く解消するお茶を紹介したいと思います。

迎え酒による効果

私の経験上、二日酔い気味の時はアルコールを見るのも嫌になります。ただ、盆正月などお付き合いなどで、どうしても続けて飲まねばならない状況の時もあり、時として二日酔い気味でお酒を飲むこともあります。不思議なことに、二日酔いの時にお酒を飲むと、さっきまでの不快な気分がが嘘のように楽になります。まさに「迎え酒」効果を何度も実感した経験がある私です。ただし、医学的には迎え酒は、肝臓を酷使することから、健康に悪く推奨されません。

迎え酒は血管を拡張することが効果の理由の一つ

迎え酒で二日酔いが解消される理由の一つは、血管を弛緩させ、血行を良くするためです。実は血管を拡張し、血行をよくするのはお酒だけでなく、お茶にも同様に血行を促進するお茶があります。迎え酒をする代わりに、血管を拡張するお茶を飲むと、二日酔い気味の不快な体調は比較的早く解消します。ただし、どのお茶でも血行がよくなるわけではなく、事実、二日酔いの時に一般的な日本の緑茶や紅茶を飲んでも、あまり、快方に向かうような感じはしません。

血管を拡張し血行を促進するお茶

お茶には飲んでも余りからだが温まらないタイプと、飲むと、体の中からポカポカと熱くなり、顔も手も真っ赤になるタイプのお茶があります。何が違うかというと、お茶に含まれるポリフェノールとミネラルの量が異なります。一般的に肥料を与えて育ったお茶には余韻が短く、飲んでいても、体は温まりません。多くのアッサムティ、典型的な旨味重視の日本茶、セイロンティの多くなどが典型的な例です。
逆に、肥料を全く与えず、雑草も除去しない状態で、更に良くを言えば、粘土質の土壌で育った「自然栽培茶」は、体が非常に温かくなり、一緒にお茶を飲んでいる人の顔がみるみる赤くなるのが分かります。自然栽培茶の凄いところは、冷やした状態で飲んでも体が温かくなる点です。自然栽培茶の場合、一本当たりのお茶の木が有するお茶の葉の数は劇的に少なく、成長速度が遅く、また、お茶の葉は顕著に小さくなります。根が吸った栄養が小さく、数少ない葉に凝縮されるため、余韻が強く、力強いお茶になるわけです。
自然栽培茶

私もお酒が好きゆえ、比較的定期的に二日酔い気味を経験します。その様なときは迷わず自然栽培茶を飲みます。自然栽培茶によって代謝活性があたり、お酒で滞っていた血液の流れが解消することから、目に見えて気分が快方に向かいます。自然栽培茶と言っても、いろんな種類がありますが、プーアル生茶、雲南省産の白茶・紅茶・緑茶、自然栽培の日本茶をお勧めします。私の経験上、コク(余韻が)深いお茶ほど、2日酔い解消に向いているように思います。私のラインアップの中で特にコクが強いお茶と言うと、馬鞍山古樹生茶・白茶、无量山古樹生茶、大雪山野生茶などが代表的です。お茶によって程度の多少はある物の、自然栽培茶であればどれもお勧めです。

自宅で美味しいお茶が作れる!紅茶の作り方

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簡単に作る紅茶

お茶の質が良いのは春の一番茶ですが、紅茶を作るのであれば秋摘み茶もお勧めです。そこで、自宅で専門的な道具を必要とせず、簡単に、しかもプロのように上手に紅茶を作る方法を紹介したいと思います。

紅茶作りで大切なのは発酵ではない

紅茶作りというと、「発酵」にばかり眼が行きがちです。ただ、紅茶を作る上で発酵工程は意外に重要度は低く、むしろ、素人とプロ間での差が生じにくい工程と言えます。
素人が、或いは、紅茶作りに慣れてない人が大失敗するポイントは、他でもない「乾燥工程」です。この乾燥工程をヘアドライヤーや天日乾燥でやった場合、100%紅茶を上手に作る事は出来ません。言い方を変えれば、100%失敗します。

自宅で簡単に作れる紅茶

発酵度の調整は好みに応じて

紅茶作りですが、ダージリンファーストフラッシュのように発酵度を抑えた緑色の紅茶もあれば、しっかり発酵を行い、ゴールデンリングが出来るような発酵度の高い紅茶まで様々です。発酵を軽めに行うか深く行うかは作る人の好みですので、余り重要な問題ではありません。ただし、発酵には水分と温度が関係するため、萎凋時間と発酵時間が変わってきます。最初から、どのような紅茶を作りたいか明確なイメージを持って臨むことが重要です。

萎凋工程(お茶の水分を抜く)

萎凋工程とは、簡単に言うと、お茶を萎れさせる工程です。具体的には、日陰で、風通しのよい場所に竹のザル、穴が沢山空いた平コンテナなどにお茶を薄く並べ、時間をかけてゆっくりと水分を落としていきます。窓を開けて風を通しても良いのですが、私は扇風機で少し距離のあるところから風を当てます。重要なのは茶葉が重ならないように薄く並べることです。重なっていると、その部分だけ水分が飛びにくくなり、萎凋に斑が生じます。
萎凋をする時間ですが、紅茶を深く発酵したい場合は1日くらい、ダージリンファーストフラッシュのように、微発酵にしたい場合は2日間くらいやります。萎凋の目的は①茶葉をしおらせる事で揉みやすくする、②脱水状態に置くことで酵素を刺激し、③発酵により花のような香りを引き出す、水分を落とすことで次工程の発酵工程を安定させる等の目的があります。以下、3つのポイントを覚えておくと良いと思います。

  1. 萎凋を長時間するほど甘い香りが生じる
  2. 萎凋を長時間するほど水分が失われるため発酵しにくくなり、ファーストフラッシュのような微発酵紅茶に向く
  3. しっかりと発酵した紅茶を作りたい場合、萎凋を長くやり過ぎない。

萎凋を長時間やると、脱水ストレスにより、お茶の酵素が発酵を始めます。ちょうど、大根を乾しておくと、タクワンの甘い香りが生じるのと同じような原理だと思ってください。

簡単な紅茶の作り方

私が自分で飲む分の紅茶を作っているときの様子:萎凋

萎凋が進むにつれ茶葉が萎れてくる

揉捻工程(お茶をもむ)

萎凋が完了した茶葉は揉むことで、細胞を壊し酵素とお茶に含まれるポリフェノールを反応させ発酵を促進する必要があります。お茶を揉むときは、少しづつ揉むのではなく、ドンブリかボール一杯の茶葉をまとめて玉にし、洗濯板で選択をするような要領で揉むと良いです。私は滑り止めの付いたまな板や、和紙、製茶用の竹ザルの上で揉みます。揉みが甘いと、その後の発酵に斑が生じます。初めて紅茶を作るときは、上手くもめないと思います。しかし、安心ください。色々手こずって、「何とか揉むことが出来た」…..程度の仕上がりでも、この後の乾燥をきちんと管理することで、十分に美味しい紅茶が出来ます。揉んだ後は、茶葉をしっかりとほぐしてください。一旦乾燥して固まると2度とほぐせなくなります。

紅茶の作り方

自宅でやるときはもっと少ない量でやるとよいです。

紅茶の作り方

写真があまり良くありませんが、この程度に揉めれば十分です。

発酵工程

揉み終わった茶葉を発酵させる工程です。発酵と言っても、家庭で作る程度の小規模であれば、ボールにいれた状態で置いておけば十分です。
ただし、そのまま置いておくと、上面の茶葉が乾燥してしまいます。そこで、濡れたタオルなどをボールの上にかけておくことがポイントです。勿論、濡れタオルが茶葉に触れていると、その部分のみ水分が高くなり、発酵が進んでしまうため、茶葉には触れないようにすることが重要です。発酵工程では茶葉が茶色になるまでやる必要有りません。実際、次工程で熱を加え過程で、更に、発酵が進みます。ファーストフラッシュのような紅茶を作りたければ数時間、ダージリンオータムナルのような紅茶が作りたい場合、半日も発酵すれば十分でしょう。

簡単な紅茶の作り方

自宅で作る場合はこのくらいの色になったら発酵を止めてください。これ以上発酵すると、過発酵になるリスクを伴います。

発酵止め (超重要)

紅茶作りの最も重要なポイントはこの工程に集約されます。発酵が完了した時点ではお茶の酵素はまだ生きているため、酵素を失活させ、これ以上発酵しないようにロックする必要があります。
もし、このまま茶葉を乾燥機した場合、温度の上昇と共に酵素活性は最大となり、お茶は急激に発酵してしまいます。こうなると、もやは発酵と言うよりも過発酵であり、質の低い紅茶に見られるテアルビジンという茶色の色をした色素(タンニン)が急速に形成されます。
ご家庭で紅茶を作る場合、オーブンを使う必要があります。オーブン内の温度を120-140℃に設定し、十分に予熱をしておきます。ここに薄く広げた茶葉をいれ、10分間だけ加熱します。茶葉には水分が含まれているため、この時点でお茶の水分が100℃に到達し、酵素は一気に失活します。茶葉は10分経過した時点で即オーブンから取り出す必要があります。10分程度であれば、お茶に含まれる水分の潜熱のお陰で、100℃を超えることはありませんが。水分が無くなった時点で茶葉は焦げます。

乾燥

発酵止めをしっかりやってさえおけば、その後茶葉はどういう方法で乾燥しても全く問題有りません。家庭であれば、ヘアドライヤーを使う、風通しのよいところで、エアコン直下で乾す等々色々方法はあります。オーブンで乾燥した場合、風がないため、乾燥効率がよくなく、また焦げる可能性があるためお勧めしません。電子レンジの場合も、茶葉の水分減少に伴い、熱がかからなくなるため乾燥方法としてはお勧めではありません。

火入れまたは無酸素保存による熟成

プロが紅茶を作る場合、この後に火入れ工程があります。火入れ工程とは、70℃くらいの温度で4−5時間熱を加えることで、お茶の青臭さを除去し、甘い香りを引き立てます。火入れの際温度を上げすぎると焦げてしまうため、必ず、80℃以下にて管理する必要があります。ただ、この工程なしでも、十分に美味しい紅茶が出来ますが、火入れをしない場合、やや青さが香りに感じられたり、舌に僅かな渋味が感じられます。火入れを行う代わりに、脱酸素剤と共に封をして半年から1年ほど温かいところに置いておいても、火入れと同様の効果があります。

これは中国における、乾燥機


便秘にお勧めのお茶

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便秘にお勧めのお茶
便秘にお悩みの方にお勧めのお茶を紹介したいと思います。

病気が原因の便秘はお茶では解決しない

便秘でもお茶で改善するものとしないものがあります。例えば、癌、細菌・ウイルス性の胃腸炎や出血性大腸炎などのような、病気による便秘の場合、根本的な原因を除去することが解決策であり、お茶を飲んだところで解決にはなりません。
他の便秘の原因としてあげられるのが、食物繊維不足、水分不足などですが、運動不足をはじめ、腸への血行不良も便秘が起こる重要な原因です。血行があまり良くない人、つまり、手足が冷えやすい人は血行不良を原因とする便秘になりやすいと仮定出来ます。

以下、「血行ドットコム」の説明を引用します。

一般的に、便秘の原因として考えられるのは、
偏った食生活による食物繊維不足、水分不足、運動不足、ストレスなど。

さらに外せないのが、腸内の血行不良です。
腸の血行が悪くなると、腸の働きも低下してしまいます。
それで、便秘を発生しやすくなってしまうんですね…。

そのゆえ、お腹や腰、背中などを温めて腸の血行を良くすることは
便秘解消にとても効果があるんです。
単に外から温めるだけではなく、白湯を飲んで内側から温めたり、
お腹周りの筋肉を鍛えたりすることで血行を促すことはより効果的!
便秘を解消したいのなら、とにかくお腹の血行を促すことがポイントなのです☆

血行を改善するお茶

お茶で改善が期待できる便秘は、血行不良を理由とする便秘です。つまり、お茶を飲むことで血行が改善できれば便秘の改善が期待できます。
重要なのは「血液循環を改善するお茶」と言うことになります。
因みに、どのお茶を飲んでも血液循環が改善するわけではありません。
血液循環が改善するお茶を飲むと、血液が隅々まで行き渡るために、顔が火照り、手足が中から温かくなります。

この事を説明すると、多くのお客様が、「熱いお茶を飲んでいるから、体が温まったんですよ!」と言われます。

実は、本当に血液循環を改善する類のお茶の場合、冷やして飲んでも体が温まります。これが重要なポイントです。例えば、一般的な日本茶、抹茶、紅茶を冷やして飲んだ場合、体は温まりません。むしろ、冷えます。

お茶の中で、自然栽培茶はミネラルが豊富に含まれており、カテゴリーに関係無く、お茶を飲むと体が温かくなります。自然栽培茶でも、自然栽培度にはお茶によって差があります。特に体が温まるお茶としては雲南省の完全放置栽培の自然栽培茶だと思います。これらのお茶を飲むと、飲むほどに顔が赤変し、飲み過ぎるとお茶酔いをし、気分が高揚します。血行を改善し、体を温めるお茶は、飲んだときに非常にやわらかく、余韻が強く感じられます。

自然栽培茶とは

自然栽培茶とは無肥料、無農薬、無剪定、雑草も除去することなく、放置栽培に近い状態で作られたお茶の事です。自然栽培茶を顕微鏡で観察すると、肥料を使って栽培されたお茶と比べ、細胞が極めて小さく、同じ面積の茶葉でも、構成する細胞の数が圧倒的に多い点が特徴です。自然栽培茶の場合、細胞の数に比例して含まれるミネラルの量も多いわけです。詳しくお知りになりたい場合、以下のページをご参照ください。
http://hojotea.com/jp/posts-970/

特にお勧めするのは野生茶

私のラインアップの中で特にお勧めするお茶は、カメリアタリエンシス系の野生茶です。カメリアタリエンシスとは、一般的なお茶カメリアシナンシスと非常に近いものの異なる種のお茶です。私のラインアップでは、大雪山野生茶、野生春芽、鳳慶野生白茶、野生紅などのお茶があります。
これらのお茶は野生のお茶から加工されているため、ミネラルが非常に豊富に含まれ、強烈に強い余韻を示します。ただ、余韻やミネラルだけが理由かどうか分かりませんが、経験的に、私が便秘気味の時には必ずお世話になるお茶です。

伊賀天然朱泥急須もうすぐ販売できそうです!

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伊賀の土
伊賀の山の天然の朱泥を使った急須製作の進捗状況を報告したいと思います。

8月に伊賀の原土を精製し、粘土に加工

6−8月にかけ、土の精製方法について見直しをしてきました。伊賀の土は山の表層部から回収された土であり、掘ってきたばかりの原土の状態です。したがって、植物片や砂などが混ざっており、作家が使用できる粘度の状態へ加工する必要がありました。
一通り、大きな異物を除去した後、更に土を細かくするためには、ボールミルという粉砕器で天然の土をより細かく粉砕する方法、地味に篩を使ってふるう方法、水簸といって、水煮分散した各粒子の沈降速度の違いを利用して分離する方法があります。
土の性質に対して不適切な方法で精製をすると、焼き上がった後の作品にひび割れがあったり、窯キズが生じやすくなります。また、精製方法によって、舌への渋味の感じられ方や、土の性能自体が変わります。
私としては、舌でのざらつきがなく、味を引き立てる茶器を理想としており、以下3点を重点的に検討しました。因みに、粒子を細かくした場合、焼成温度を下げるなどの工夫が必要になります。

  1. 精製方法
  2. 粒子の細かさ
  3. 焼成温度

一通り、精製方法の見直しが終わったことで、8月に土を全て買とり、精製を委託しました。非常に稀少な土と言うこと、精製で不純物を除去したことで1.5トンプラスが粘度として手元に残りました。今後、必要量ずつ土を作家に供給することで、土の品質管理をしつつ、作品を作っていただこうと思っております。

伊賀の土

精製が完了し、作家が使用できる粘土状に加工され、包装された伊賀朱泥

伊賀の朱泥

精製中に除去された砂の一部

11月中旬には最初の作品群が完成予定

9月の頭に、村田益規氏と会い、希望の形状やその他私が希望する規格に関する打ち合わせを行いました。当初の予定では10月には仕上がってくるはずだったのですが、予定に遅れが生じたことから、先週ようやく、焼成前の作品が出来上がりました。予定では11月の中旬くらいには作品が完成してくる予定です。今回は数量を抑え気味に注文してあります。今回納品された作品を検品し、それを叩き台にして、更なる修正箇所や希望を村田益規氏に伝えることで、12月を目処にある程度の量を生産したいと考えております。村田氏は後手タイプの急須(茶壺)の形状を比較的得意とされているので、今後、後手の作品を中心に紹介していきたいと考えております。

以下、焼成前の作品

伊賀の土

朱泥の原土は黄色い色をしております。焼成することで、30%程収縮し、朱色へと変化します。

伊賀の朱泥

 

収穫時期に降る雨とお茶の品質の関係

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茶葉
お茶の品質は年によって変化します。特にお茶の品質に影響するのは雨です。雨が多い年はお茶の品質は落ちます。なぜ雨が問題なのか、簡単に説明したいと思います。

雨が降ると農産物の味は薄くなる

雨の日に摘まれたお茶はコクが少なく、味が非常に薄く感じられます。これはお茶だけでなく、果物でも同じです。私の実家は農家をやっておりリンゴを作っております。雨の日に収穫したリンゴは味が薄く顕著に甘みに欠けます。
苺、サクランボ、ブルーベリーなども同じで、露地栽培の場合、雨降りに収穫された果物は、甘みが薄く、物足らない味わいへと変化します。雨の直後や雨降りは鳥ですら果物を食べに来ません。

雨の後2日間は品質が戻らない

私が雲南省にてプーアル生茶を仕入れる際は原料の選定、生産工程、流通を全て管理しており、収穫日についても管理することができるため、雨が降った場合、その後2日間に収穫されたお茶は使用しません。例えば、今日雨が降り、明日は晴天だったとしても、明日と明後日の時点ではまだ、お茶の濃厚な味わいが戻りません。3日目の時点でお茶の味わいはようやく元に戻ります。味が分かる人であれば、雨の日に収穫されたお茶を飲めばその違いは明確に区別できるものです。

雨が降るとお茶は急成長

雨はお茶の木にとって大切ですが、収穫時期に降る雨はお茶関係者にとって有難くありません。収穫時期に雨が降るとお茶は勢いよく伸びようとします。その結果、葉のミネラルや栄養素が吸い戻され、味が薄くなります。雨の日に収穫されたお茶は、成長が早いことから、葉と葉の距離(節間)も広くなります。勢いよく成長しているお茶は、細胞のサイズも大きくなり、含まれるポリフェノールやミネラル量も少なくなり、それらが品質に直接的に影響します。

お酒を飲むときの意外なお茶の活用法

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メールマガジン第67号 : 2015年011月17日発行 お酒を飲むときの意外なお茶の活用法

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大部肌寒い季節となり、お酒を飲む機会もこれから増えるのではないかと思います。そこで、お酒に関するお茶の面白い利用法を紹介したいと思います。

1.一枚の自然栽培茶はお酒の味を軟らかく高い質へと変える

自然栽培のお茶の葉を日本酒、ビール、焼酎、或いはジュースに入れると、味が非常に軟らかくなり、余韻が深くなります。これは茶葉に含まれるミネラルが関係しておりますが、使用する茶葉の質が良ければよい程、お酒の味にも影響を与えます。茶葉は沢山入れる必要はなく、一枚入れるだけで効果は十分です。重要なのは投入する茶葉の種類です。お茶の種類は紅茶、緑茶、烏龍茶、プーアル茶等々、何でも構いませんが、自然栽培で作られ、お茶自体の余韻が強い事が重要です。そんなことで、味が変わるはずがないと思われるかもしれませんが、原理としてはフグなどのひれ酒と同じで、分かる人には驚くほど変わります。

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魯山人は良質の昆布をサッとくぐらせるだけで良いと書き残しております。昆布をさっと通すだけで旨味が出るとありますが、私は、これは旨味ではなく、ミネラルによるコクなんだろうと考えております。「茶葉を一枚入れるだけでよい」というのはこれと全く同じ原理です。残念ながら少数(私の経験的に大体2割くらいの人)ではありますが、味の奥行き・コクが先天的に感じられない人もおります。

2.お酒を飲みながらお茶を飲むと悪酔いが軽減される

私はお茶だけでなく、お酒も非常に好きゆえに、時々深酒してしまうこともあります。お酒を多く飲む際、お酒を飲みながら、お茶を飲むと翌日悪酔いしにくくなることを経験から発見しました。外でお酒を飲んだ場合、家に戻ってから、お茶を沢山飲みます。お酒を飲むとアルコール分解のために体が脱水状態になるため、水分補給の点でもお茶はお勧めです。ただ、もう一つお茶を飲む意味があると考えておりますそれは自然栽培茶に含まれるミネラルが関係します。話は一瞬それますが、良質なワインは同じ量のアルコールを飲んでも安いお酒のように悪酔いしないですよね?良質のワインにはミネラルが豊富に含まれ、ミネラル感=余韻の長いワインと言われております。自然栽培茶についても、ミネラルが豊富に含まれ、非常に長い(深い)余韻が特徴的です。お酒を飲みながら、ミネラルが豊富で余韻が長い自然栽培茶を沢山飲むと、良質のワインを飲んだ翌日のようからだが比較的楽に感じられます。

3.二日酔いには自然栽培茶を

お酒を飲み過ぎた翌日、向かい酒をすると、体調が良くなるといわれております。
これは本当だと思われますか?私はサラリーマン時代、連日お酒を飲まなければならないことが多く、2日酔い気味にもかかわらず、連続的に酒のむことが多々ありました。

「驚くべき事に、向かい酒をすると本当に体調が良くなります。」

ただ、医学的な見地からは、連続的な飲酒は肝臓により負担をかけるために、健康に悪いと言われております。向かい酒で気分が良くなるのは、アルコールによって、血行が良くなるためと考えられております。そこで、血行が良くなるお茶を飲めば、肝臓に負担をかけずに同じような効果が期待できます。このテーマについては以前にブログで詳細解説をしておりますので、以下の記事をご覧ください。

http://hojotea.com/jp/posts-996/

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自然栽培茶にはいろんな種類がありますので、お茶の種類を限定する必要はありません。大事なのは、自然栽培で作られたミネラルが豊富な茶葉原料から作られているという点です。特にお勧めするのは、雲南省産のプーアル茶、白茶、紅茶などです。雲南省のお茶が特殊と言うことではないのですが、雲南省には伝統的な自然栽培を今も継続している少数民族がおり、野生と変わらないようなお茶を仕入れることが出来ます。自然栽培茶園については、以下の記事をご参照ください。

http://hojotea.com/jp/posts-970/

新商品 傳統式梨山茶

http://hojotea.com/item/o65.htm

梨山茶と言えば、台湾茶のキングとも呼ばれる銘茶です。特に標高2400m付近で作られたお茶は、花のような華やかな香り、クリーミーな食感と、長い余韻が特徴です。ただ、最近の高山茶の傾向として、発酵が非常に軽く行われており、伝統的な烏龍茶のような重発酵茶との出会いは殆ど有りません。私はお茶を頻繁に飲むため、軽発酵烏龍茶も良いのですが、是非、重発酵の高山茶を飲んでみたいと思っておりました。この事を生産者に伝え続けたところ、今年の春、限定量ではあるものの、重発酵の梨山茶を生産してくれました。重発酵梨山茶は、桃のような、栗のような、濃厚で甘いフルーツの香りがし、甘い香りの余韻が強く感じられるお茶です。非常に高級なお茶ではありますが、非常に高い満足感の得られるお茶でもあります。

HOJOパッケージ

鳳凰単叢烏龍 水仙、杏仁香、金玉蘭が入荷

http://www.hojotea.com/item/houou.htm

暫く品切れ状態になっていた3商品が入荷しました。季節的にも鳳凰単叢烏龍茶が美味しく感じられます。鳳凰単叢烏龍茶はもっとも歴史が長い烏龍茶の1つです。鳳凰単叢烏龍茶は名前からして非常に複雑ゆえ、敬遠して飲んだ事の無い人も多いと思います。おそらくこのお茶ほどに、飲んだときの驚きが大きなお茶は他にないと思います。お茶とは思えないレベルのフルーツの香りと深い余韻があり、HOJOで選んでいるお茶に関しては渋味や苦味はありません。初心者の人には、蜜蘭香や稲花香をお勧めします。

今後の急須の入荷について

http://www.hojotea.com/categ/teaware.htm

12月を目処に渡辺陶三氏作の秋津無名異、舘正規氏作の信楽粗土、村田益規氏作の伊賀天然朱泥急須などが入荷予定となっております。清水謙氏の作品に関しては今後の入荷が未定です。既存のラインアップで良いモデルがあれば、お早めにご検討ください。

仕入のプロから見た中国茶の品質

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「中国茶」というと、その瞬間に眉をしかめる人がおります。中国の食品は危ない、中国は品質が悪いという意識があるためでしょう。日本にいると、中国をはじめとする海外事情などはマスコミの情報に頼らざるを得ません。ただし、マスコミの情報には「偏り」がある点を理解する必要があります。実際に現地に行って仕事をしていると、マスコミを通じた報道とはかなり異なる事に気がつきます。私は1年間のうち2ヶ月を中国や台湾、残りの4-5ヶ月を海外法人があるマレーシアのクアラルンプール、残りを日本で過ごしております。私の海外経験を通じた中国の、或いは中国茶の品質について私が感じていることをシェアしたいと思います。

日本の製造業が優れているのは均質性

一言に品質と言っても、品質に対するとらえ方は人それぞれです。例えば、マレーシアの電化製品売り場に行くと、販売員は「技術なら韓国製」、「信頼性なら日本製」という説明をしてくれることがあります。韓国製のテレビなどは非常に新しい技術が盛り込まれているものの、商品による品質のバラツキがあるそうです。

私はマレーシアのスーパーで頻繁に加工食品を購入しますが、ヨーグルトのような国産加工食品については、ロシアンルーレットかと思うほど毎回品質が安定しません。開封した瞬間に廃棄を決断せざるを得ないこともしばしばです。品質が一定しないというのは東南アジアでは比較的当たり前の現実です。

私自身、日本の食品メーカーに10年間努めた経験がありますが、私が思うに日本が世界に誇れる品質とは、「均質性」だと思います。均質性とは、つまり、安定性であり、どの商品も安定して同じ品質が維持されている点です。消費者にとって、均質性は非常に重要です。「今回購入した商品が非常に素晴らしかったから、リピートしたら前回とぜんぜん異なる品質だった」というのは、マレーシアや中国ではよくある事です。
日本の製造業が優れているのはまさに均質性なのです。

中国のお茶の品質

中国には世界トップクラスのお茶も世界最低と言えるお茶も両方存在します。例えば、高級な鳳凰単叢烏龍茶の場合、お茶の加工技術と言い、原料の質と言い、感動するレベルです。そうかと思うと、お茶を道路で乾してみたり、タバコの吸い殻と一緒にお茶が加工されているような低品質なお茶の加工現場に出会うこともあります。中国のような大きな国になると、1つの省が日本の国土面積よりも広く、消費層にしても裕福な人から、超貧しい人までピンキリです。したがって、作られるお茶の品質に関しても、超高品質なお茶から、ゴミのようなお茶まで、文字通りAからZの品質が存在します。

茶器に関しても、中国宜興の紫砂茶壺や景徳鎮の磁器など、良い作品になると、日本では考えられないレベルの完成度です。ただし、良い物以上に、悪質な商品が沢山あることも事実です。中国の場合、消費者の人口が多く、貧富の差が非常に激しいため、裕福層の為の高品質の商品もあれば、低所得層向けの値段重視で作られた商品もあります。

重要なのは商品をどう選ぶか、選ぶ人次第です。明確な品質基準をもって商品を選ぶことが重要で、品質が悪いのは中国だからではなく、お茶を仕入れる人の責任です。

優秀な茶師でも任せておくと品質にバラツキが生じやすい

中国におけるお茶の品質ですが、やはり問題となるのが、均質性です。非常に良いお茶を作る茶師であっても、年によってバラツキが大きかったり、バッチによって品質が上下したりします。彼らは、「農産物なんだから仕方がない」という説明をしますが、農産物という話だけでは説明が付かないほどにばらつく事があります。お茶の場合、原料そのものの品質、加工の内容、加工の管理、安全性、保存技術等々が最終的なお茶の品質に深く影響してきます。各工程の管理が正確に出来てない場合、最終的なお茶の品質は大きく変わります。日本人は均質な品質を作る事に非常に力を注ぎますが、中国の場合、優れた茶師であっても、均質な品質という点を生みだすための生産管理が弱いように思います。バッチによるバラツキが生じた場合、後でブレンドすればいいと判断されることが多く、雲南省などでは油断しているとブレンドされてしまいます。

現地に滞在して品質のバラツキが生じる原因を確認し管理する事の意義

中国の場合、非常に良いお茶を生み出す工場でも、品質がばらつくのは極頻繁に起こります。そこで、私は、現地に滞在し原料から商品までの流れをモニタリングすることで、自分が仕入れる商品について、品質の安定化を図るようにしております。全ての商品について、それは出来ませんが、烏龍茶や雲南省のお茶のような主要な商品については、産地に長期間滞在し原料の入荷、加工、流通を管理しております。生産される商品を日ごとにバッチ分けし、品質のブレがあった場合には、それを検出し、他に混ざらないような工夫もしております。

プーアル茶・puerh tea

中国では物事を平均化して見るべきではない

中国を見るときは、日本的に平均的な視点で見るのは適切ではありません。中国という広い国土には非常に良い品質も悪い品も混在している事を理解し、どう良い商品を見つけ出し、その品質を安定的にお客さんに提供できるようにするか考えることが商売を行う上で重要だと思っております。

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