現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。
当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。
今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報を得たため、実際に現地に足を運び、産地の様子を見てきました。
標高2200mの山村を訪問
今回訪れたのは、雲南省臨滄市の南西部に位置するとある村です。
この村は標高2200mに位置しており、野生茶が好む標高だったため、期待しておりました。
雲南省における野生茶は、私達がよく知っているカメリアシナンシスでは無く、その近縁種であるカメリアタリエンシスという山茶が一般的です。このお茶は、亜高山帯を好む性質があり、一般的に標高2200m〜2400m位の高地が産地であることが多いです。
野生では無い野生茶
村に到着した後、現地の村人と合流し、更に徒歩で1時間ほど山へと登って行きました。そこにはカメリアタリエンシスの茶園が広がっていました。村人によると、これらのお茶の木は彼や彼の先祖が山から掘り起こして持ち帰り、自分の土地に植えたものだそうです。
野菜やクルミなどから隔離されたエリアゆえに、農薬などのドリフトの心配は一切無いのですが、我々からすると、「それは野生では無いでしょう?」となります。
ただ、実際のところ、雲南省の人々は、野生のお茶と野生のお茶を持ち帰って植えたお茶をあまり区別しません。日本でも、タラの芽を畑で栽培して、「山菜」として販売している事がありますが、感覚としてはそれに近いのでしょう。
山から掘って来たお茶の木ならまだ良い方で、近年では、カメリアタリエンシスが至る所に植えられています。
もちろん、雲南省の人々に「カメリアタリエンシス」と言ってもまず確実に理解されません。彼らの中では、一般のお茶にたいし、山由来のお茶=野生茶と理解されているようです。
現実、本当の意味での野生茶か人口的に栽培された野生種のお茶かどうかは関係無く、カメリアタリエンシス種のお茶は「野生茶」として世の中に流通しています。私の経験上、世の中で売られている「野生茶」の殆どは、自然栽培の野放茶園を指しているか、人工的に栽培された野生種(カメリアタリエンシス)のどちらかと考えるのが自然かと思います。
畑に植えられたカメリアタリエンシスの幼木
自然の生態系あっての野生茶
カメリアタリエンシスの茶園を探索している最中、放牧されている牛たちに出会いました。不思議なことに、牛たちはお茶を一切食べず、代わりに下草だけを食べていました。ある意味、お茶農家からすると有難い家畜です。
ただ、茶園には牛の糞が各所に散見され、意図せずに定期的な肥料投下が行われていることが見て取れました。このように、山から掘り出した野生のお茶の木でも、人の集落の周りで栽培されると家畜などの影響を受け始め、山の生態系とは異なるため、お茶の味は総じて薄くなり、野生茶の体に落ちていくような余韻は得られなくいなります。
野生茶探索では、このような結果はごく普通です。ただし、諦めずに、新しい情報が入るたびに足を運ぶと、永徳野生茶のように思わぬ良いお茶に出会うことがあります。当店では、本当の意味での「野生のお茶」に強いこだわりを持って、仕入れを行っております。
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