現在販売している福建省福鼎産の白毫銀針(シルバーニードル)ですが、近年では農薬・値段・品質を満たすお茶の入手が非常に困難になりつつ有ります。HOJOでは今後のことも見据えて、今年から雲南省の自然栽培茶を使用した白毫銀針を特注生産する試みをはじめました。
高騰し続ける福建省産の白毫銀針の値段
以前のブログでも何度か説明しておりますが、福建省における白茶は経年保存し「ビンテージ白茶」として販売するというコンセプトが普及したため、白茶を年内に売り切る必要性が無くなり、その影響で市場価格が高騰しました。2015-2016年と中国におけるお茶市場はやや冷え込んでおり、お茶によっては値段が下がりつつあるのが現状ですが何故か福建省の白茶のみは値段が毎年上昇しております。品質とのギャップが顕在化しており、非常に不健康な市場と化しております。
低下する福建省産の白毫銀針の品質
福建省のお茶は完全な現代農業方式で生産されており、また、近年では値段の上昇からより沢山の肥料が用いられるようになり、お茶にほとんど余韻が感じられなくなりました。余韻の深さ=お茶の品質であるため、最近のお茶の値段上昇と品質低下が反比例状態にあります。
中国でも突出して多い農薬の使用量
福建省の高級白茶は中国国内での消費が中心ゆえ、海外向けのお茶のように農薬に対する管理意識がありません。白茶も含め福建省産のお茶で農薬基準を満たすお茶は非常に入手が困難です。中には有機栽培茶もありますが、有機栽培茶の場合、更に値段が高く、その割に品質が良くありません。私は現在2年前に仕入れた白毫銀針を販売しておりますが、当時の生産者の作る白茶も今では倍以上の値段で販売されており、とても仕入れる気になれません。
雲南省の優れた品質の自然栽培茶を福建省の生産技術にて生産
私がプーアル茶の原料としている雲南省の茶葉は安全な上に余韻が非常に深く品質が非常に優れております。そこで雲南省産の茶葉を用い、福建省の白茶作りの技術と組み合わせたらある意味理想的な商品が出来ると思いました。白茶はお茶の中でも最も歴史が長いお茶であり、雲南省ではプーアル茶が作られる遙か昔から作られておりました。ただし、雲南省の白茶は、乾燥工程がプーアル茶と同じく、天日・或いは自然乾燥で作られます。福建省の白茶も伝統的には天日乾燥による作り方があったのですが、近年は見た目の色合いを重視するために、そのほとんどが温風乾燥を採用しているのが実情です。そこで、福建省の作り方に基づき、雲南省の生産会社に技術指導することで、福建省の白毫銀針に近い商品を作り上げる事にしました
- 雲南省の白茶:萎凋 → 天日乾燥
- 福建省の白茶 1:萎凋 → 天日乾燥
- 福建省の白茶 2:萎凋 → 温風乾燥
雲南省の製法に基づいて作られた白茶(シルバーニードル)はHOJOの古樹銀針のような仕上がりになります。
これまで飲んだ事もないような深い余韻の白毫銀針が完成
私が今回用いたお茶は、完全無農薬無肥料の茶園産です。確認の為、ドイツ資本のSGSという分析会社で300種類以上の農薬を検査しましたが、何一つ農薬は検出されませんでした。自然栽培農園だけあって、お茶の余韻の深さは福建省の一般的な白毫銀針とは比にならないほど深く、HOJOのプーアル生茶並みの喉の奥に吸い込まれるような深いコクのお茶に仕上がりました。現時点でも非常に満足の行く品質だと思いますが、毎年、製茶工程の細部を見直し、更に魅力的なお茶に育てていきたいと思っております。現在残っている白毫銀針の在庫が終わり次第、本商品に切り替える予定です。