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大雪山野生白茶とプーアル生茶の散茶を限定予約販売

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今年も大雪山産の野生茶を原料にプーアル生茶と白茶の生産を行いました。今年は中華正月以降、殆ど雨が降らなかったため野生茶の質が極めて良く、甘味が非常に強く、喉の奥まで染み渡るような深い余韻が感じられます。また、今年から生産工程に改良を行い、更に香りの強いお茶に仕上げる工夫を行いました。例年ですと、散茶(毛茶)は予約販売し、残りの原料については餅茶に緊圧してHOJOの定番商品として販売するという方式を採っておりました。ただ、今年は全てのプロセスをスピードアップするため、限定量の散茶を予約販売することにしました。残りのお茶は既に緊圧をしてしまいました。したがって、予約の数量が予定しているお茶の量に達した時点で予約を終了とさせて頂きます。尚、お茶をお届けできるのは5月中になります。

注文ボタンはページ下部にあります。

野生のお茶は一見コシアブラをはじめとする山菜のような外観をしております。

  

野生種と野生茶の違い

HOJOで販売している野生茶はカメリアタリエンシスという種類のお茶です。ただ、注意すべき点は、カメリアタリエンシス=野生茶というわけではありません。一般的なお茶(カメリアシナンシス)と同じく、茶園や民家の周りに植えられているカメリアタリエンシスも多く存在します。特に近年、野生茶の需要の高まりから、お茶農家でもカメリアタリエンシスを接ぎ木して育てている事例が多く見られます。また、野生茶の産地の山周辺の村では昔からカメリアタリエンシスを常飲しているため、村の周りの里山にもカメリアタリエンシスが植えられております。ただ、村の周り半径数キロは鶏や豚、山羊などの放し飼いの家畜が歩き回るため、村人の意思とは関係無く肥料が入っており、当然、本当の野生のお茶とは全く味が異なります。これら人の手が関わったお茶は決して野生茶ではないはずなのですが、雲南省ではカメリアタリエンシスを見ると人々は野生茶と呼ぶ慣習があります。したがって、本当の意味での野生茶との区別が必要です。私は、市場に流通している「野生茶」の7〜8割は茶園産のカメリアタリエンシスではないかと考えております。100%野生のお茶は、大木が多く、余韻が非常に深く、透明感があり、自然な甘味が感じられ、何煎もお茶を煎れ続ける事が出来ます。

上は茶園に植えられたカメリアタリエンシス、下は山の麓の村周辺に植えられているカメリアタリエンシスの大木。

左下に立っている私のサイズと比べると木の巨大さが想像できると思います。人が植えた木でもこのサイズですので、野生の木ともなると非常に巨木になります。

山間部の農家の周りにあるカメリアタリエンシスの木

良いお茶を入手するためには人間関係も非常に大事

上記の通り、栽培物のカメリアタリエンシスが多い状況下、確実に野生のお茶を入手するためには産地と生茶原料を抑える事が重要です。野生のお茶の原料は少数民族の村人に山から回収して貰っております。山間に位置する村は単一の少数民族で構成されており、村長に当たる立場の人が村人を組織して山に入っては野生茶を集めてきます。このため、良い原料を優先的に確保するためには村長との人間関係も大切で、定期的に彼と会っては交流をしております。

村を訪ねると、必ず手作りの料理を御馳走してくれます。食材の殆どが地鶏、山菜、自然栽培の野菜などで、素材の質が強烈に良いため、美味しいのはもちろん、体の組織に染み渡るような濃い味わいがします。そして食事の後には必ず自家製の蒸留酒での酒盛りが待っております。私もお酒は嫌いな方ではないため、村長のお酒の相手を毎回しております。長年外部と隔離されていた村ゆえに、村長は非常に人見知りが激しく、数年前に始めて会った際は最初はぎこちない間柄でした。ただ、お酒の力もあってか、近年では大分親しい間柄になりました。

長時間の萎凋を導入することで香りを強化

本物の野生のお茶は山奥に自生しており、葉にあまり日が当たらないため、香りが弱いという欠点があります。反面、野生のお茶は味が非常にやわらかく、山菜のような濃い味わいが特徴です。逆に、里山や、茶園産のカメリアタリエンシスは日当たりがよいため、香りに関しては華やかですが、味が薄い点が特徴です。


そこで香りをより高める為、今年から重点的な萎凋を生産工程に取り入れました。プーアル茶も白茶も萎凋層にて12時間の萎凋を行い、その後、プーアル茶は釜炒り、白茶については日陰で自然萎凋をする方法を採りました。この改善により、例年以上に甘い香りと自然な甘味を引き出すことに成功しました。

大雪山野生プーアル茶

今年は大雪山野生プーアル茶を原料・加工の点共に理想な内容に仕上げることが出来満足しております。昨年、火草山プーアル生茶の生産を行う際に萎凋を長時間行ったところ、非常に香りの良いお茶を作ることが出来ました。この経験から、野生プーアル生茶の生産時においても長時間の萎凋を導入することで、香りと甘味を引き出そうと考えました。野生茶は収穫した日から翌日まで萎凋層を用いて萎凋を行い、翌日の午前中に釜炒りをしました。この方法を導入したことで、茶葉が僅かに発酵し、甘味のある香りを引き出すことが出来ました。飲んだときは滑らかで、体に染み入るようなやわらかな後味がし、その後、甘い香りがじわじわと口に広がります。一気に香りがするのではなく、上品に香りが立ち上がって来るところが非常に気に入っており、毎日飲み続けても良いお茶だと思ってます。大雪山野生茶は花のような香り、仄かにブドウやリンゴの香りが感じられるお茶です。毛茶(散茶)の状態だと香りが更に良く作りたてのお茶の新鮮な香りをお楽しみ頂けます。散茶の状態でも熟成します。熟成する場合は、未開封のまま出来るだけ温度の高い部屋に保存してください。無酸素で包装しておりますので20年間放置しても未開封であれば鮮度の劣化はありません。(熟成してフルーティな香りへと変化します。)

今年は昨年の予約量から試算した数量のみを確保しました。販売量に限りがありますので、早めに予約をお願いします。

大雪山野生プーアル生茶の散茶の予約注文は以下から

100g 3900円 (税別)
クリックして買い物カゴへ

200g (100g袋 x 2) 7600円(税別)
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600g   (100g袋 x 6) 22500円(税別)
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1000g 31,200円   (100g袋 x 10)(税別)
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お茶が入荷するのは5月中の予定です。他の一般商品と併せて注文された場合、発送のタイミングを計りかねますゆえ、野生茶の入荷を待って一緒の発送を希望されるか、他の商品のみ先に発送を希望されるか備考欄に明記ください。尚、5000円以上お買い上げの場合は送料無料です。

大雪山野生白茶

このお茶は2年前から私と生産者とで生産技術を開発しているお茶です。近年、野生茶のプーアル茶と紅茶は多く見られますが、白茶は殆ど見かけることがありません。

今年は床に広げたシートではなく、全て棚で萎凋を行ったことで昨年よりも緑色に仕上げることが出来ました。大雪山野生白茶の香りは、非常に強く、花の香り、新鮮なブドウのような香りと摘みたての山菜のような甘い香りが特徴です。香りの強いお茶が好きな方には特にお勧めするお茶です。もちろん、香りだけでなく、余韻が非常に長く、非常に濃く、深い味わいがします。また、野生の茶葉の特徴である透明感のある味わいと、口の中に残る仄かな甘味が印象に残るお茶です。プーアル茶同様に熟成にも向いているお茶です。熟成により、蜜のような甘い香りが形成され、よりフルーティな香りへと変化します。白茶の場合、殺青をしてないために酵素が茶葉内に残っております。餅茶に加工する場合、茶葉に蒸気を吸わせて湿らせてから緊圧をするため、その際に、発酵が少し進む傾向があり、お茶の香りがややフルーティに変化します。それはそれで美味しいのですが、散茶における花のような鮮烈な香りは散茶ならではです。散茶での販売は限定量のみですので、興味のある方は早めに御注文お願いします。

大雪山野生白茶の散茶の予約注文は以下から

100g (50g x 2) 3900円 (税別)
クリックして買い物カゴへ

200g (50g袋 x 4) 7600円(税別)
クリックして買い物カゴへ

600g   (50g袋 x 12) 22500円(税別)
クリックして買い物カゴへ

1000g 31,200円   (50g袋 x 20)(税別)
クリックして買い物カゴへ
お茶が入荷するのは5月中の予定です。他の一般商品と併せて注文された場合、発送のタイミングを計りかねますゆえ、野生茶の入荷を待って一緒の発送を希望されるか、他の商品のみ先に発送を希望されるか備考欄に明記ください。尚、合計5000円以上お買い上げの場合は送料無料です


高い品質のお茶ほど成長が遅い

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3月に雲南省入りし、既に1ヶ月が経過しました。ここ臨滄地域の場合、春の1番茶は3月の20日頃から茶摘みが開始されます。但し、1番茶にもかかわらず5月に入ってから摘まれるお茶もあります。実は、高い品質のお茶は成長が非常に遅く、これらのお茶が摘まれるのは春の最後になります。私は長期間滞在しているのも、これら極上の原料を確保し、希望するお茶に加工するためです。

同じ地域の場合遅くに収穫されたお茶ほど品質が高い

お茶の品質が最も良いのは春の1番茶です。これを摘み取ると、お茶の木は再び芽を出します。これがいわるゆ2番茶です。雲南省の場合、摘み続けた場合、年間10回くらいお茶摘みをすることが可能です。多くの人はお茶摘みの時期が早ければ早いほど質が良いと考えがちですが、それは特定のお茶の木に限った場合です。同じ地域産の1番茶に関しては、遅くに摘まれたお茶ほど品質は高くなります。これは動物や魚の肉と同じで、養殖で沢山の餌を与え、急速に育てた魚や動物の肉の味が薄いのと同じです。また、山菜も同じで、シーズン初めは低地の若い木から始まります。例えば、標高が高く、樹齢が古いタラの木の場合、タラの芽が生長するのは非常に遅く、他の山菜のシーズンが終わった頃にようやく伸びてきます。このような山菜は非常に美味しく、低地の山菜とは甘味、味の立体感が全く異なります。日本人は特に、走りを好む傾向があります。ただ、お茶や山菜の場合、出来るだけ遅くに収穫されたものの方が質が高いという事実は意外に知られておりません。

標高2300mからの眺望

標高・肥料・樹齢がお茶の成長速度に影響

お茶の成長速度に影響する要素としては、主に標高、樹齢、肥料です。特に私が狙っているのは、高山に位置する無肥料の茶園産の高樹齢のお茶の木ですが、2200mクラス以上の標高の茶園ともなると、5月の上旬にようやく1番茶が摘まれます。因みに、同じエリアの老木でも肥料が入っている茶園は成長が非常に速く、茶葉も大きく成長します。品質が異常に高い割に、今の時期は終盤と言うこともあり、お茶の値段は特に高い訳ではないのが雲南省のお茶の面白い点でもあります。むしろ、早い時期摘まれるお茶は走りと言うこともあり、高い値段が付きがちです。春になると新茶のニュースで溢れるため、多くの人が焦り、早く新茶を入手しようとしますが、お茶摘み時期は遅いほど良いと言うことを肝に銘じる必要があります。但し、この時期になると低地の2番茶を初め、様々なお茶が混じるため、原料の入手先を詳細に指定し、希望する茶園や特定の老木から生茶葉を回収しております。



写真上:日陰にある老木と私、北城

極上のお茶が入手出来るのは限られた年のみ

但し、これら5月に収穫される極上のお茶は毎年入手出来るわけではありません。一般に、雲南省では4月の後半は雨が多く、例えば2017年は4月の中旬〜1ヶ月間雨が降り続きました。雨が降り続けた場合、標高が高い茶園や、樹齢が高い老木に関しても、急激に成長が早まり、その結果、お茶の品質は低下します。この為、どの時期のお茶を入手するかという点についてはややギャンブル的な要素があります。昨年は4月後半の天気が非常に悪くなると予想されていたため、4月中旬にお茶の仕入をし、それ以降のお茶の仕入は切り上げました。もし、昨年、中旬のお茶を入手せず、後半まで待っていたとしたら、良いお茶は全く入手出来なかったと思います。逆に、今年は後半の天気が良いと予想されていたため、4月の中旬には殆どお茶を仕入れず、様々な茶園をまわったり、生産実験などをしつつ、4月後半のお茶の時期を待っておりました。今年は非常に良いお茶が入手出来そうです。

大雪山野生茶散茶の先行予約ですが、未だ僅かにお茶が残っております。興味のある方は以下のサイトをご訪問ください。

大雪山野生白茶とプーアル生茶の散茶を限定予約販売

 

中国緑茶2018を4種類発売!

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2018年産の中国緑茶を複数発売しました。今回は晴天が続いたことでお茶の素材が非常に良く、例年と比べて、非常に高い質のお茶が入手出来ました。これまでに発売した緑茶は、太平猴魁、太平猴魁 特貢、西湖龍井、蒙頂甘露の4種類になります。

太平猴魁

http://hojotea.com/item/g07.htm

太平猴魁は中国10大銘茶に選ばれた非常に有名なお茶です。昨年仕入れた太平猴魁は花の香りが強く感じられる仕上がりだったのに対し、今年は甘い香りが強く感じられる仕上がりになっております。味は透明感があり、お茶を飲んだ後に花のような甘い香りが咽頭内に漂います。今年は晴れの日が続いたおかげで余韻が強く、後味が濃いお茶が入手出来ました。特貢グレードは更に標高の高い茶園で作られており、より味が軟らかく、余韻が強く感じられます。太平猴魁は中国緑茶ですが、やや日本茶的な香りも感じられ、様々な料理との相性が良いお茶です。見た目も美しいお茶ですので、グラスなどでいれると喜ばれます。中国緑茶を試したことがない人に是非試していただきたいお茶です。

西湖龍井

http://hojotea.com/item/g06.htm

今年入手した西湖龍井茶は過去の仕入れの中でも突出して質が良いと感じております。後味が濃く、龍井茶らしい香ばしい甘い香りと、花の香りが強く感じられます。反面、今年の獅峰龍井茶は値段が高騰しており、その割に品質が良くなかったため、仕入れを中止しました。

蒙頂甘露

http://hojotea.com/item/g27.htm
四川省を代表する銘茶です。蒙頂甘露は過去数年間にわたり満足できる品質が入手出来ませんでした。今年は無肥料栽培の生産者と知り合うことができ、極めて高い品質の蒙頂甘露が入手出来ました。自然栽培の一番摘みと言うこともあり、茶葉のサイズがやや不揃いですが、中国緑茶では珍しいレベルの濃い後味のお茶です。甘い花の香りが特徴で、柔らかく、甘い味がします。生産量が非常に少なかったため、限定量のみの販売です。

中国緑茶は水出しに最適

中国緑茶はお湯で淹れるのも良いですが、水出しにしてもとても美味しく飲んで頂けます。水出しにする場合、1リットルに対して5gの茶葉をいれ、数時間おくだけです。これからの暑い季節、水出し緑茶が美味しく感じられます。

老木の自然栽培茶から作られた大茶頭を予約販売

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茶頭はプーアル熟茶の発酵過程で自然に形成される塊です。今回、茶頭の中でも、大茶頭と呼ばれるとても珍しい茶頭を入手しました。大茶頭は珍しいだけでなく香り味の点で非常に質が高く、知る人ぞ知る美味しいお茶です。大茶頭の毛茶は非常に個性的な香りとやわらかな味わいを有するため、中国では緊圧しないのが一般的です。HOJOでも、大茶頭に関しては、ブロックや餅茶に加工するのではなく、生産直後のままの状態(毛茶)にて販売することにしました。入手出来た量が非常に限られているため、予約販売にて販売したいと思います。お届けできるのは来月の予定です。プーアル熟茶が好きな人に「強くお勧めするお茶」です!

現地で最も人気のあるプーアル熟茶

茶頭は小指の先程度のサイズ〜繭大のお茶の塊で、熟茶の発酵の中盤に、茶葉が凝集することで自然に出現します。茶頭は熟茶の中でも特に香りが良くまた、滑らかで、濃厚な味わいゆえに、非常に人気の高いお茶です。多くの場合、お茶の生産者が自らのコレクションとして所有したり、非常に近い間柄のお客さんが1年前から事前予約で買い占めてしまうことが多く、お茶市場は勿論、生産地まで仕入れに行ったとしても、入手が難しいお茶です。特に自然栽培茶から作られた茶頭は、多くの茶商が狙っているため、他業者との競争になることも多く、予約していたお茶が横取りされてしまうことも珍しくありません。

白く見えるのはプーアル熟茶の発酵に欠かせない放線菌

大茶頭を仕入れました!

今年2018年の4月〜5月に雲南省で仕入れを行った際、茶頭の中でも特に稀少な大茶頭を仕入れることが出来ました。茶頭は発酵途中に自然に形成されることから、生産直後の茶頭の形状やサイズはバラバラで不均一です。それらの異なるサイズの茶頭は生産者によって分級され、サイズ毎に大・中・小・極小と分けられます。大茶頭は、茶頭の中でも最もサイズが大きな茶頭です。尚、HOJOでは中茶頭についても仕入れており、これは既に250gブロックに加工しました。

商品は上の写真の様な個々の茶頭の状態でお届けします。

茶頭は春摘み茶から形成される自然の塊

プーアル熟茶の発酵には、好気性菌、嫌気性菌、カビや酵母などの真菌類が交互に係わります。茶頭は、放線菌を中心とする微生物が生産する多糖類とお茶の成分との相互作用により、微生物発酵途中に茶葉が凝集し、自然に塊が出現します。尚、茶頭が形成されるのは春の一番摘み茶を使った場合のみで、夏摘み茶からは基本形成されません。秋摘みのお茶からも多少形成されますが、極めて僅かな量のみです。秋摘みの場合、数トンの茶葉を発酵しても形成される茶頭は20-30キロが限度で、しかも、非常に緩く、壊れ脆い茶頭となり、味や香り等質の点で春茶の茶頭とは明らかに異なり非常に粗い味わいです。春摘み茶は成分を豊富に含むため、茶頭は非常に硬く、大型に成長します。ただ、春茶を原料とするプーアル熟茶自体が非常に少ない事から、10%以下の生産量である茶頭は非常に稀少です。

茶頭内部が無酸素状態になる事で特徴的な香りが形成

茶頭は形状が特殊なだけでなく、誰もが分かるレベルで、明らかに味と香りに特徴があります。同一バッチで作られたプーアル熟茶と比べても、香りが非常にフルーティなのに加え、味が豊で甘味があり、また、滑らかでとこりとした食感がします。茶頭が特徴的な味香りを有する理由は、その形成過程に由来します。発酵中盤に形成された茶頭内部は発酵が完全に終了してない半発酵状態にて無酸素状態となります。この時点で茶頭は、適度な水分を含み、更に、発酵によって生じるる熱により、1ヶ月間熟成されます。お茶が無酸素下で熟成することで、非常にフルーティな香りを形成します。特にサイズが大きな大茶頭は無酸素下の茶葉の体積が多いため、茶頭の中でも特に香りの個性と品質が突出しております。

火草山産の無肥料無農薬の自然栽培茶を使用

今回入手した大茶頭は火草山産のプーアル生茶を原料に、生産(発酵)したお茶です。このお茶は既にHOJOのラインアップにある、火草山古樹熟茶と同一バッチのお茶です。火草山古樹熟茶の紹介にあるとおり、火草山は非常に高い品質のプーアル生茶を原料として作られており余韻の長さ、後味の濃さ、非常にやわらかな口当たりが極めて高いレベルに仕上がっております。一般的には茶頭が最も真価を発揮するのは、数年以上熟成した後です。茶頭内部の成分は更なる保存によって、独特の甘い香りを形成します。中国の人々は紅棗香と形容しますが、私は棗に加え、乾燥杏子、乾燥プルーン、良質のレーズン、ブランデーの香りを連想します。ただ、火草山産の大茶頭は、原料の質が高いためか、生産後1年始か経過してない現時点で既に非常に甘い香りと滑らかな味を呈します。これまで何種類かの茶頭と係わってきましたが、これは初めての経験です。この為、火草山大茶頭については、即飲んで頂くことも可能ですし、或いは、数年以上の熟成をし味香りの更なる成長を楽しまれるのもお勧めです。

茶頭表面に見られる白い粉は熟茶の発酵にとって重要な放線菌

茶頭の表面には白い粉の様な物質が観察されることがあります。一見するとカビのようですが、これはカビではなく放線菌です。カビは粉状ではなく糸状になります。熟茶は微生物発酵で作られるお茶ですが、熟茶の発酵が上手に制御された場合、放線菌が多く増殖することから、最終的に出来上がったお茶の表面には放線菌が観察されます。一般に餅茶へと加工した場合、蒸気をあてるために、放線菌は溶けてしまい見えることはありませんが、茶頭の場合、生産直後の状態の毛茶であるため、放線菌が観察されることも珍しくありません。放線菌はプーアル熟茶の発酵に関与する重要な菌であり、体に有害な菌ではないためご安心ください。下はプーアル熟茶の発酵途中の写真です。塊が茶頭です。所々に見える白い部分が良質なプーアル熟茶の発酵に欠かせない放線菌です。

大茶頭の毛茶については、入手出来た量に限りがあるため、予約販売にて紹介したいと思います。

大茶頭の予約注文は以下から

大茶頭の毛茶については、入手出来た量に限りがあるため、予約販売にて紹介したいと思います。予約販売は期間を今月一杯とさせていただきます。尚、在庫が無くなった場合は、締め切り日を待たずして予約販売を終了とさせていただきます。

100g 3000円 (税別)
クリックして買い物カゴへ

200g (100g袋 x 2) 5800円(税別)
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1000g (100g袋 x 10)24,000円(税別)
クリックして買い物カゴへ

お茶が入荷するのは7月中の予定です。他の一般商品と併せて注文された場合、発送のタイミングを計りかねますゆえ、予約茶の入荷を待って一緒の発送を希望されるか、他の商品のみ先に発送を希望されるか備考欄に明記ください。尚、5000円以上お買い上げの場合は送料無料です。

雲南省の自然栽培茶から作る白茶!白牡丹

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HOJOでは雲南省の標高2100mクラスに自生する老樹から収穫された茶葉を用い、オリジナルの白牡丹を作りました。これまでの白茶の概念を突き崩す衝撃的な品質のお茶に仕上がりました。

白牡丹の産地周辺の風景

原料の質がダイレクトに品質に反映する白茶

白茶は生産方法がシンプルゆえに、原料となる茶葉の品質がダイレクトに反映されます。ゆえに、原料となる茶葉の品質を向上することは、単純に白茶の品質を高めます。私の経験上、中国でも特に品質が高い茶葉原料が入手出来るのは雲南省の奥地の2000m以上に位置する自然栽培の老木から成る茶園です。このエリアの場合、茶園と言っても、日本や福建省の茶園のようにお茶の木が低木に仕立てられているのではなく、各お茶の木は自然のままに放置されており、大きな木の場合、屋根くらいの高さがあります。私達は、無農薬・無肥料で、木のまわりの雑草も除去しない完全な自然栽培の茶園を選び、原料が入手出来るように手配をしました。

値段高騰で量産に舵を切った福建省産の白茶

一方、白茶で有名な福建省では過去7-8年、白茶の値段が高騰し続けております。このきっかけとなったのは「白茶は長期保存によって熟成する」という概念が2000年頃より紹介されたためでした。それまでは年内に売り切らねばならなかった白茶が、古いほど高い値段で売れるようになりました。これにより福建省では白茶が投機対象となり、値段が10倍以上に高騰しました。当然、福建省の農家ではより生産量を上げ、収入を増やすために、肥料を多く使用するようになり、お茶の品質は全体に低下傾向にあります。値段が高い上に、質が低いのでは意味がないため、HOJOでは全ての白茶を雲南省産に切り替えるべく、数年かけて準備(生産試験)をしてきました。

福建省福鼎の一般的な白茶の茶園

現地の設備を使い自分たちで生産

雲南省で白茶を作る際に頻繁に問題となるのは、加工技術の低さです。雲南省の場合「白茶は日陰干しすれば良いだけ」と工程を軽視している生産者が多く、折角の良質の原料が加工によって価値を落としているケースが多く見られます。萎凋の管理が出来てない場合、茶葉が黒変します。これは萎凋室の温度、空気循環量、茶葉の重なり具合などが不適切ゆえに、萎凋工程中に「蒸れ」が生じているためで、茶葉が過度に発酵してしまった結果生じます。乾燥キクラゲのような独特の香りを呈することから、私は好みません。折角の良い原料を使用しても、萎凋が管理できてないと、よい香りを引き出せないため、生産管理は非常に重要です。私達は過去数年にわたり、実際に生産現場に入り白茶の生産に携わってきました。この経験のおかげで、設備さえあれば自力で白茶を生産できるようになりました。今回、白牡丹を生産する際には、生産方法とパラメーターを直接作業者に指示し、バッチ毎に工程を管理することで、HOJOの理想とする品質に仕上げました。

標高の高い茶園の自然栽培茶を使用

本商品の原料茶葉は、雲南省臨滄の南西部の標高2100m付近で収穫しました。お茶は1芯1葉を規準に摘んで貰いました。白牡丹の原料は一番茶にもかかわらず、5月になってから収穫されたお茶を用いております。標高が高く、樹齢の古いお茶の木ほどお茶の収穫時期が遅くなります。同じ一番茶でも、3月、4月に摘まれ多お茶と、5月摘みのお茶では品質に雲泥の差があります。

白茶の作り方

白茶は、殺青と揉捻を伴わなわず、萎凋によって微発酵をさせたお茶と定義することが出来ます。白茶の歴史は古く、2000年以上前から存在しており、お茶の中でも最も古いお茶とも言われております。摘み取った茶葉は、短時間の日光萎凋の後に、日陰で数日間ゆっくりと萎凋を行います。徐々に水分が蒸発する脱水ストレスにより、お茶の酸化酵素が活性化し、微発酵が生じます。萎凋時間が短いと緑色になり花の香りを呈します。逆に萎凋時間が長いと、やや褐色化しフルーティな香りに仕上がります。前述したとおり、萎凋時に蒸れが生じると、茶葉が黒変し、干しキノコのような過発酵臭が感じられます。本商品は、48時間程度(日々の天気にもよる)の萎凋を行うことで、花のような香りと仄かにフルーツの香りがする、バランスのよい香りのお茶に仕上げました。

全く熱を加えない作り方にすることで豊かな香りを実現

白茶には幾つかの作り方があります。福建省で主流の作り方は、萎凋が完了したお茶を120℃の乾燥機に10分ほどいれることで、青臭さを抑え、香りと味をクリアーにし、同時に甘い香りを引き出します。ただ、この工程は甘い香りを引き出す反面、熱によりフレッシュでフローラルな香りを消してしまいます。HOJOで使用している原料茶葉は、自然栽培のお茶ゆえに、青臭さが殆ど感じられません。そこで、あえて、最後の120℃加熱工程を省くことで、萎凋したてのフレッシュな白茶特有の香りを楽しんで頂く事にしました。白牡丹を口にいれると、花の香りが豊に感じられ、余韻が非常に長く、飲みごたえのあるお茶です。白茶が好きな人のみならず、白茶を飲んだことがない人にも是非ともお勧めするお茶です。

日当たりの優劣とお茶の味香りの関係

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同じ無肥料の自然栽培茶であっても、日陰や森の中で作られたお茶と日が良くあたる場所で作られたお茶は香りや味に大きな違い出ます。ただし、お茶の栽培環境による特徴を引き出すには製法も非常に重要だと言う点をあわせて説明したいと思います。

栽培環境毎の違いを理解するためには産地でのバッチ管理が必要

お茶の栽培環境毎の特徴を出したいと思った場合、お茶を茶園毎、木毎等のくくりで厳密にバッチ管理をする必要があります。普通に生産者からお茶を仕入れた場合、その多くが複数の茶園から構成されております。一般にお茶を作るときには、必要とするお茶の重量の4倍の生茶葉が必要とされます。例えば、100kgのお茶を作るためには400kgの原料茶葉が必要になります。仮に100kgのお茶を作る場合、1つの茶園ではまかなえないことが大半です。お茶は一斉に成長するため、2-3日で400kgを集める必要があり、その為には同時進行で複数の茶園のお茶を摘む必要があります。このような状況から、多くの商品は地域は同じでも複数の茶園産のお茶が混合されております。それに対して、私達はここ数年、特定の茶園単位、特定の木単位でお茶を分類し、製茶を行ってきました。この結果、お茶の生育環境がどう味香りに影響するのか明確に理解できるようになりました。

加える熱が少ないほどお茶は個性的に

お茶は収穫したての生茶葉の段階で香りを嗅ぐと、それぞれのバッチ毎の個性が非常に顕著に現れており、特徴をはっきりと感じ取ることが出来ます。ただし、その後の製茶工程で高い温度が加わると、お茶の香気成分が蒸発または酸化し、それぞれの特徴が出にくくなります。例えば、プーアル茶を作る際に、釜炒り温度が高すぎた場合、香りが弱く、透明感が出る反面、どのお茶の香りも同じようになります。逆に、低い温度で釜炒りをするとプーアル茶であってもそれぞれ特徴のある香りに仕上がります。紅茶の場合、酵素発酵を止めるために、発酵後に100℃以上の温度で加熱します。しかしながら、水分が蒸発した後も加熱し続けると過度に熱がかかり、甘露飴のような甘い香りになる反面、花の香りや、蜜香などの特徴が失われます。同様に、緑茶は殺青を行う際に非常に高い温度で蒸青または釜炒りされるため、各種お茶の中では最もお茶の個性が出にくいお茶と言えます。つまり、お茶の栽培環境や品種による香りや味の個性をより顕在化させるためには、熱を使わないか、熱の使用を最小限に抑えた製茶方法が適しております。私の経験上最も適しているのが白茶と紅茶です。


ただし、紅茶に関しては前述したとおり、発酵止めのための加熱条件を慎重に管理する必要があります。熱を加えすぎた紅茶は、特徴のない甘いだけの香りになります。

華やかな香りの日向のお茶と後味が強く穏やかな香りの日陰のお茶

日が良く当たる場所で作られたお茶は、非常に香りが華やかで、特に自然栽培茶を白茶や紅茶に加工した場合、マスカットを連想するような強い蜜香を初め、花やフルーツの香りがし、非常に甘い香りのインパクトが強いお茶になります。
それに対して、日陰のお茶から作られた白茶は、木の樹齢や品種に関係無く、香りが穏やかで、どちらかというと新芽、草木、花系、柑橘系の香りがし、マスカットのような華やかな香りは全くしません。これは何処の茶園産のお茶でも共通して見られる特徴で、香りに華やかさを求めた場合、日当たりの良い場所のお茶の木が適しております。逆に、日当たりの悪い土地のお茶の木は、香りが弱くなりがちゆえ、白茶の場合、萎凋を長めに行ったり、紅茶の場合、発酵を強めに行う等、加工における香りを高める工夫が必要になります。同じ樹齢で、同じ地域、同じ標高、同じ栽培方法のお茶の木で、日陰と日向で味を比較した場合、余韻が長く、後味が濃いのは日陰のお茶です。日陰のお茶は成長が遅く、日向のお茶よりも2週間くらい遅れて茶摘み時期を迎えます。余韻が長く味が濃くなるのは、時間をかけてゆっくりと成長するためかと思われます。

日当たりが良い場所のお茶も悪い場所のお茶もそれぞれに特徴があり、優劣付けがたいように思います。

日陰の茶園(上)と日陰の茶葉(下)

日向の茶園(下)

無名異、信楽、伊賀の急須・宝瓶各種入荷

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渡辺陶三 野坂粗土

各種茶器が入荷しました。今回入荷した茶器は、渡辺陶三氏作の秋津無名異酸化焼成、炭化還元焼成、野坂粗土還元焼成、舘正規作の信楽粗土、前川淳蔵氏作の伊賀天然朱泥宝瓶です。
http://www.hojotea.com/categ/teaware.htm

渡辺陶三氏作、秋津無名異 酸化焼成茶器

今回は比較的小型の茶壺・急須が入荷しました。
秋津無名異土はボディとコクの両方を高める土で、非常に広がりのある味わいが特徴です。ただ、天然土と言うこともあり、土の採取部位によって、味の呈し方に変化が生じることがあります。現在入荷し販売している土は、味香りの広がりも高めますが、それ以上に味のコクが強くなる傾向があります。したがって、コクの強いお茶を好み、香りよりも味に重点を置かれる人にお勧めします。烏龍茶やプーアル茶、白茶などとの相性が良いと思われます。

無名異焼

無名異焼

無名異焼

渡辺陶三氏作、秋津無名異 炭化還元焼成茶器

秋津無名異の酸化焼成で朱色に焼き上げた茶器を、炭化した籾殻などの中にいれてもう一度蒸し焼きにすることで、鉄と炭素が結びつき、特有の黒い色に変化します。同じ土でも炭化還元で焼成することで、酸化焼成の茶器よりもコクが強まる傾向があります。加え、現在渡辺陶三氏が使用している天然土は、よりコクを高める傾向があるため、非常に奥行きがあり余韻が顕著に感じられる茶器です。緑茶やプーアル熟茶などに特にお勧めしますが、あらゆる種類のお茶との相性が良い土です。香りを抑えめに、味の濃さを求めたい人に特にお勧めします。

無名異焼

無名異焼

無名異焼

渡辺陶三氏作、野坂粗土還元焼成茶器

野坂還元焼成は佐渡島の相川の近くにある野坂と言う部落から採取された粘土質の強い朱泥です。
野坂粗土還元焼成の茶器は非常に特徴的な味を呈します。お茶のボディを減少させ、味香りの膨らみを無くします。つまり、香りが非常に穏やかになり、その分、コクを非常に高めます。香りは無くなる訳ではなく、飲み終わった後に戻り香がじわりじわりと立ち上ります。粗土の特徴として、味は多少荒削りな部分があり、使い始めはざらつきが感じられますが、使い込むことで円やかになります。

渡辺陶三 野坂粗土

無名異

渡辺陶三 野坂粗土

信楽粗土茶器

信楽粗土はボディを増し、コクについてもある程度増します。佐渡や伊賀の土ほどに味の変化が大きくないですが、バランスが良く、あらゆる種類のお茶と相性の良い土です。私の経験上、比較的、日本茶やプーアル生茶用に買われるお客さんが多いです。

信楽粗土急須

信楽粗土急須

信楽粗土急須

前川淳蔵作 伊賀天然朱泥茶器

各種宝瓶が入荷しました。中には癖のあるデザインもあります。
伊賀天然朱泥は味香りの広がりを強烈に高める為、紅茶や烏龍茶との相性が非常に良い土です。特に香りを重要視される人にお勧めします。お茶の成分が茶器の外側にしみ出るという変わった特徴のある土ですが、付き合い方に慣れればば、それも個性として捉えられるようになります。日本茶に使用すると、従来香りが弱めの日本茶が、とても香り高く感じられます。ダージリンとの相性も非常に良い土です。

伊賀天然朱泥宝瓶

伊賀天然朱泥宝瓶

安渓の烏龍茶を鳳凰単叢烏龍のように仕上げる実験

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潮州を代表する鳳凰単叢烏龍茶は、お茶とは思えないレベルのフルーツのような甘い香りがするお茶です。初めて飲まれる方の多くは、その香りの甘さに驚かれます。この甘い香りを作り上げるためには、発酵だけでなく、伝統的な炭火による焙煎技術が用いられます。100℃以下の低い温度で6時間〜数十時間かけてじっくり焙ることで、熟成を加速し、濃厚な甘い香りが形成されます。私は個人的興味でから他産地の烏龍茶を鳳凰単叢烏龍の焙煎方法で仕上げる事を思いつきました。ちょうど今月、潮州の鳳凰鎮に鳳凰単叢烏龍の仕入に行くため、その際に実験をするべく計画中です。今回、安渓の肉桂と鉄観音を潮州へ送り、鳳凰単叢烏龍と同じ方法で低温焙煎をしようと考えております。

極めて稀少な低温+炭焙のお茶

近年、炭火による焙煎は非常に少なく稀少化しております。中国台湾茶を問わず、烏龍茶の大半は熱風での焙煎を採用しております。ただ、熱風と、炭火では熱の伝わり方が異なります。輻射熱である炭火の場合、熱が芯まで伝わるため、炭火で焙煎したお茶は、誰が飲んでも瞬時に分かるレベルで味も香りも優れております。炭火で焙煎した場合、熱が素材を貫通するため、非常にスッキリとした、統一感のある香りになります。ただ、炭火は非常に温度制御が難しく、多くの生産者は100℃を超える温度で焙煎しているのが実情です。ただし、焙煎温度が100℃を超えた場合、焦げが生じ、その結果、「香ばしい」香りが形成されます。武夷山、安渓、台湾にも炭火で焙煎が行われているお茶がありますが、その多くは100℃を超える焙煎温度が用いられており、香ばしい香りを売りとしております。決して香ばしい香りが悪いというわけではなく、それも「個性」として市場では受け入れられているのも事実です。現在、100℃以下の低温長時間の焙煎で仕上げられているお茶は、標高の高い茶園産の鳳凰単叢烏龍茶と超高級な武夷烏龍くらいで、他のお茶ではあまり見かけません。

安渓の肉桂と鉄観音を鳳凰単叢風に仕上げる

私は「安渓産の烏龍茶を原料に用いて、鳳凰単叢烏龍の伝統焙煎で仕上げてみたい」と長年考えておりました。異なる産地間でのコラボレーションは中国でもあまり例が無く、結果が想像できるようでできません。幸い、私は安渓の生産者と潮州の生産者の両方と仕事付き合いがあるため、両者に計画を話し、安渓から烏龍茶の毛茶を仕入れ、潮州へ送り、低温の炭火で焙煎をして貰うことにしました。今回実験するのは鉄観音と肉桂です。どちらもHOJOのラインアップとして販売しているお茶で、これらを100℃以下で炭焙することで、どのようなお茶に仕上がるかテストする予定です。焙煎は鳳凰単叢烏龍茶の清香タイプに相当する方法と、濃香タイプに相当する方法を両方試す予定です。もし、良い結果がでた場合は、限定での販売も考えたいと思います。

今月下旬に鳳凰単叢烏龍茶の仕入れのために潮州へ行く予定ですので、その際に焙煎に立ち会い、試作実験を行う予定です。肉桂と言えば、武夷烏龍茶でも人気の銘柄です。潮州式の炭焙で仕上げた肉桂がどのようなお茶に仕上がるのか、今から非常に楽しみです。


現地でも珍しい台湾烏龍茶2種を予約販売

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台湾に1週間程滞在し、烏龍茶の仕入れをしてきました。台湾茶の仕入れをする際は、例年と同じレベルの品質と価格を維持することを重要視しております。ただ、お茶は農産物ゆえ、実際に産地へ行くと、その年々で個性の尖った面白いお茶に出会うことがあります。このようなお茶は、毎年有るわけではなく、定番商品とし繰り返し仕入れることが出来ません。ゆえに、昨年までは、品質が高くても特殊なお茶に関しては仕入は控えておりました。ただ、個性豊かなお茶をやり過ごすのは、非常に残念ゆえ、今年から、珍しいお茶も積極的に仕入れ、限定茶として予約販売の形で提供することにしました。今年は雨が少なかったため、お茶の質が非常に良く、合計2種類の面白いお茶を入手しました。これらのお茶は現在台湾で保管しているため、予約販売を行いたいと思います。締め切りは8月25日とさせていただきます。興味のある方は是非ご検討ください。

生産者がブレンドする前のロットを評価するメリット

お茶は、茶園や生産日の違い等、ロット毎に品質や個性が大きく異なります。生産者はこれらのお茶を最終的にブレンドし、品質や値段を均質化した上で販売します。私は、ブレンドが行われる前に、現地にて、複数のロットを評価させて貰うことで、気に入ったロットを仕入れております。お茶は農産物であり、手作業で加工が行われることから、その年特有の気象条件や、茶園の状態、製茶時の偶然などから、個性的で、はっとするような、面白いお茶に出会うことがあります。今年は伝統式凍頂烏龍茶と阿里山茶の2種類に関して、面白いと思える品質のお茶を見つけました。

花の香りがする伝統式凍頂烏龍茶

伝統式凍頂烏龍茶とは

近年の台湾の烏龍茶は微発酵が主流です。微発酵ゆえに緑茶のような口当たりと、特有の甘い花のような香りを呈します。香り高くそれでいて飲みやすい為、初心者を初め、幅広い層に人気です。それに対して、伝統式の烏龍茶は一般の台湾烏龍茶よりもより多くの手間と時間をかけ、茶葉をしっかりと発酵させた烏龍茶です。具体的には攪拌作業(浪青)をより多く行い、長い時間をかけて発酵を行います。伝統的な烏龍茶は、重点的な発酵により、茶葉の縁がオレンジ色をしているのが特徴で、濃厚な味わいと、フルーツのような香りがします。味香りが濃厚であることから、飲みつけると非常に癖になるお茶です。ただ、伝統式烏龍茶は作業に手間がかかることから近年は生産する人が極めて少なく、台湾でもとても稀少で入手が難しいお茶となりつつあります。

内部発酵を最大限に高めることで濃厚な味わいと花の香りを両立

実は、今回紹介するお茶は普通の伝統式凍頂烏龍茶では有りません。伝統的な凍頂烏龍茶の作り方を踏襲し、しっかりと発酵をしているにもかかわらず、花のような香りがする烏龍茶です。生産者は伝統式凍頂烏龍 清香と呼んでおりました。

烏龍茶の発酵には茶葉の内部発酵と、外部発酵の2つのステージがあります。一般的な台湾烏龍茶の発酵は内部発酵のみです。特徴として、茶葉は全体に緑色をしており、一見緑茶のように見えますが、実のところ茶葉内部は発酵しており、花のような甘い香りを呈します。それに対して、伝統式凍頂烏龍茶、鳳凰単叢烏龍茶や東方美人は、内部発酵に加え、外部発酵を生じさせます。その結果、茶葉の一部分または大部分がオレンジ色をしており、フルーツのような香りがします。生産者によると、中国語ではこの内部発酵と外部発酵のことを「行腹内」「行出皮」と言う言葉で表現するようです。

伝統式凍頂烏龍茶 スペシャルの茶葉

面白い事に、茶葉の色が褐色化しない内部発酵の段階では、発酵の強弱に関係無く花の香りがします。それに対して、茶葉の縁がオレンジ色〜褐色へと変化すると、急激にフルーツの香りを生じます。発酵を内面だけに留めるか、外部に出現させるかは、攪拌の頻度、発酵時間、茶葉の水分、環境の湿度や温度などの各種要素により総合的に制御されます。本商品は、生産工場室内の湿度と温度を低く維持することで、重発酵にもかかわらず、茶葉の縁が褐色化する直前ギリギリまで内部発酵を引き延ばすことで、内面発酵を最大限に高めました。下の図のAが一般的な微発酵の台湾烏龍茶、Cが一般的な伝統式凍頂烏龍茶、Bが今回仕入れた特別な伝統式凍頂烏龍茶になります。一般的な傳統式烏龍茶と異なり、茶葉の縁は点線上にオレンジになっている程度で、全体が緑に保たれている点が特徴的です。花の香りにもかかわらず、濃厚でリッチな重発酵烏龍茶の味わいがします。濃厚な味わいと花の香りを両立していると言う点で、非常に面白いお茶です。あまり香りの想像がつかないかもしれませんが、百聞は一見にしかずですので、是非飲んでみてください。

伝統式凍頂烏龍茶スペシャルの予約注文は以下から

100g (缶入り)4,500円(税別)
クリックして買い物カゴへ
200g (袋入り x 2)  8,700円(税別)
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600gお値打ちパック (袋入り x 6)  21,600円(税別)
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飲み比べセット A: 8,700円(税別)HOJOの既存の伝統式凍頂烏龍 缶入り100gと傳統式凍頂烏龍スペシャル 缶入り100g 合計200g
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飲み比べセット B: 11,700円 (税別)HOJOの既存の伝統式凍頂烏龍 缶入り100gと傳統式凍頂烏龍スペシャル 缶入り100gとHOJO定番の凍頂烏龍茶 缶入り100g 合計300g (本来12,300円)
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飲み比べセットはHOJOで現在販売しております伝統式凍頂烏龍茶と今回予約販売するスペシャルの飲み比べセットです。個々にお買い物いただくよりもお得な値段設定にしております。また、是非、HOJO定番の普通の凍頂烏龍茶とも飲み比べをしてみてください。

配達は、来月の頭くらいの予定です。他の一般商品と併せて注文された場合、発送のタイミングを計りかねますゆえ、本商品の入荷を待って一緒の発送を希望されるか、他の商品のみ先に発送を希望されるか備考欄に明記ください。尚、合計5000円以上お買い上げの場合は送料無料です。

 

春の花のような爽やかな香りがする阿里山茶

阿里山茶は阿里山という山で収穫されたお茶です。阿里山における茶園は低地から高地まで広い範囲に分布しており、低いところは数百メートル、高い場所では1500-1600mあります。標高の高い茶園産のお茶は、味が軟らかく、香りが濃くなります。HOJOでは標高の高い茶園を選び、仕入れを行っております。因みに、「阿里山」は山の名称にすぎないため、同じ阿里山茶という名称のお茶でも、生産者、茶園毎にその味香りは一律ではありません。いろんな阿里山茶を評価していると、時として非常に個性的な香りの阿里山茶と出会うことがあります。今回仕入れた阿里山茶は仄かにヒヤシンスのような、爽やかな香りがするお茶です。このような香りは珍しく、私は発酵のしかたが違うのかと思いました。実はこのお茶、生産方法が特殊なわけではなく、この特定の茶園のみ、毎年非常に個性的な花の香りがするお茶が出来るそうです。特に今年は雨が少なかったこともあり、個性が顕著に出ました。

     

この茶園のお茶が特徴的な香りがする理由ですが、その茶園にだけ大きなクスノキが生えており、それが香りに影響していると考えられております。額面通り受け取って良いのか分かりませんが、この茶園だけ香りが異なる事を考えると、クスノキが共存する微生物を介して、落ち葉の成分、クスノキによるストレスなど、何らかの形でお茶の木に影響を与えているのかもしれません。香りが個性的とは言うものの、別の種類のお茶レベルで異なるわけではないため、その違いを感じていただくには、HOJO定番の阿里山茶と比較していただくのがベストです。HOJOの定番の阿里山茶との飲み比べセットも用意しましたので、是非、飲み比べをしてみてください。HOJOの定番の阿里山茶は花の香りと甘い蜜の香りが仄かにするお茶です。

阿里山茶 スペシャルの茶葉

阿里山茶スペシャルの予約注文は以下から

100g (缶入り) 3,900円(税別)
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200g (袋入り x 2)  7,500円(税別)
クリックして買い物カゴへ
600gお値打ちパック (袋入り x 6)  18,700円(税別)
クリックして買い物カゴへ

阿里山茶飲み比べセット HOJOの既存の阿里山茶 缶入り100g (3,500円)と 阿里山茶 スペシャル 缶入り100g(3,900円) 合計200g 7,000円(税別)
クリックして買い物カゴへ

飲み比べセットはHOJOで現在販売しております阿里山茶と今回予約販売するスペシャルの飲み比べセットです。個々にお買い物いただくよりもお得な値段設定にしております。定番の阿里山茶も極めてお勧めです。

配達は来月の頭くらいの予定です。他の一般商品と併せて注文された場合、発送のタイミングを計りかねますゆえ、本商品の入荷を待って一緒の発送を希望されるか、他の商品のみ先に発送を希望されるか備考欄に明記ください。尚、合計5000円以上お買い上げの場合は送料無料です。

誰でも簡単に出来る水出し茶の作り方

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暑い季節には水出しでお茶をいれるのがお勧めです。水出し茶の簡単な作り方、水出しに適したお茶を紹介したいと思います。

緑茶・白茶・プーアル生茶は水出し茶に最適

水出し茶ですが、水出し用に専用に作られたお茶があるわけではなく、発酵度が低いお茶ならどれも水出しに出来ます。特に、緑茶、白茶、プーアル生茶は水出しに適しております。発酵レベルにより、緑茶は非発酵茶、白茶は微発酵茶、烏龍茶は半発酵茶と分類されてます。お茶の発酵とは酵素が媒介する酸化反応をさします。つまり、発酵度=酸化度と捉えると分かりやすいと思います。お茶に含まれる有機化合物は、酸化が進めば進むほど、水溶性→非水溶性へと変化します。したがって、非発酵茶である緑茶や微発酵茶の白茶の成分の多くは水溶性成分により構成されており、成分が水に溶けやすい=水出しに適していると解釈することが出来ます。逆に、発酵度(酸化度)が高い紅茶は水に溶けにくい成分を多く含みます。紅茶や烏龍茶を沸騰した熱い温度のお湯でいれるのも、水に溶けにくい成分を効率的に抽出する目的があります。

水出し茶の作り方

具体的な淹れ方ですが、5gの茶葉を1〜2リットル位の容器にいれて、室温又は冷蔵庫で半日くらい放置するだけです。夏場は季節冷えていた方が美味しいため、私は冷蔵庫で作ります。抽出が終わったら茶葉は除去した方が雑味が無くて美味しい為、茶葉を取り出しやすいよう、私は100円ショップなどで売っているティーバックに茶葉をいれた上で、ボトルへ投入します。水出し茶は熱によるダメージを受けてないため劣化が遅く、冷蔵庫にいれておけば3-4日は作りたてのような新鮮なお茶が楽しめます。

写真の様に茶葉をティーバックにいれることで、後から除去するのが簡単です。

最近は横にしても冷蔵庫にいれられるタイプのボトルが主流でとても便利です。

(上)夕方に黒鉄観音を5gティーバックにいれ、2Lのボトルにて朝まで置くと丁度良い濃度になります。

水出し茶は湯冷ましで作るのがベスト

尚、水出し茶を作る際の注意点ですが、水道水を直接使用した場合、塩素で香りが劣化するため、簡易的な浄水器でよいので、塩素を除去されることをお勧めします。塩素は体に害を及ぼすだけでなく、お茶の香り成分と反応するため、お茶本来の香りが楽しめません。水は一旦沸騰させてから冷やした、湯冷ましの方が香り・味共に美味しくはいります。

水出し茶に向くお茶

水出しに向くお茶は日本の緑茶、中国緑茶、白茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、ローズですが、加え、HOJOのラインアップの黒鉄観音がお勧めです。黒鉄観音茶は発酵度(酸化度)が低いというわけでは無いのですが、水出しで飲むととても美味しいお茶です。特に、黒鉄観音は麦茶の代わりのお茶として強くお勧めします。私の家族も夏には麦茶を飲みますが、麦茶は余韻が浅く味が軽いと言う点で、私は何時も物たら無さを感じます。
その点、黒鉄観音は鉄分が豊富に含まれるため、麦茶と似たような香ばしさに加え、喉越し、コクがしっかりと感じられて非常に飲みごたえのあるお茶です。黒鉄観音は12時間位長めに抽出した方が美味しくはいります。夜にセットし、朝飲むくらいが丁度良いです。このお茶に関しては、茶殻を入れっぱなしにしても余り雑味がないため、私は特に除去しません。

HOJOのラインアップでは特に以下の商品を水出しにお勧めします。

白牡丹

http://hojotea.com/item/w03.htm


これは定番中の定番です。味と香りのバランスが良いお茶です。自然な花のような香りがし、子供にもとても人気のお茶です。

古樹銀針

http://hojotea.com/item/w04.htm

白牡丹と同じく、水出し茶用としてとても人気のあるお茶です。芽の部分が多い為、軟らかい口当たりです。

茉莉龍珠

http://hojotea.com/item/s01.htm

ジャスミン茶系は水出しととても相性の良いお茶です。茉莉龍珠に限らず、茉莉銀針、茉莉普洱茶のどれも水出しにすると美味しいお茶です。

大雪山野生生茶

http://hojotea.com/item/d27.htm

プーアル生茶は意外にも水出しとの相性が良いお茶です。特に香りが個性的な野生茶系のお茶は水出しにすると春の森を思わせるような清々しい香がします。どの年のものも美味しいですが、迷ったら、一番新しい2018年産ををご選択ください。

朝比奈玉露

http://hojotea.com/item/g04.htm

玉露というと高級茶のイメージがありますが、水出しとの相性が妙によいお茶です。マレーシアの店舗では、店頭で水出し玉露を振る舞うと、意外な爽やかさゆえ、購入してくださるお客さんが多くおります。水で出すことで、玉露の全く違った一面をお楽しみ頂けます。

月ヶ瀬浅揉み煎茶

http://hojotea.com/item/g43.htm


非常に浅く蒸してあるお茶ゆえ、水溶性成分が多く含まれ、水出しとの相性がとても良いお茶です。花の香りが強い爽快なお茶です。

黒鉄観音

http://hojotea.com/item/o73.htm

上でも説明したとおり、麦茶のような香ばしい香りに加え、余韻・喉越しがしっかりと感じられるお茶です。我が家でも子供達にとても人気のあるお茶です。このお茶はしっかり焙煎されているお茶ゆえ、他のお茶よりも長時間抽出してください。夜作り、朝飲むくらいで丁度良いです。他のお茶と異なり茶葉を除去しなくてもあまり雑味を生じません。

無農薬無肥料の自然栽培茶園で採れた劉家古樹生茶2018を発売

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人気のプーアル茶、劉家古樹生茶 2018を発売しました。今年は生産工程に工夫を行い、非常に個性的で飲みごたえのあるお茶が出来ました。

 

人の手が全くかかってない自然のお茶

劉家古樹生茶は、私が親しくお付き合いしている、お茶の加工業者である劉氏が自ら所有する茶園(標高2100m前後)から作られたお茶です。彼が所有する茶園は、自然栽培と言うよりも、自然の中に放置された茶園であり、雲南省の現地ではこのような茶園のことを野放茶園と呼びます。農薬・肥料は勿論、年間通して人の手が一切手かけられてないため、劉氏の茶園は「茶園」という言葉で表すのは限りなく不適切で、「山」、「藪」と形容するのがピッタリの茶園です。人の手が全くかかってないため、お茶の木は無駄が無く、極めてゆっくりと成長しており、ミネラルやポリフェノールを豊富に含みます。この為、お茶は味がスッキリとして、芯のあるしっかりとした味香りが感じられます。劉家の茶園の様子を詳しく理解していただくために、茶園を動画撮影しましたのでご覧ください。劉家古樹生茶に興味がない人でも、雲南省の本格自然栽培茶園を理解していただく上で、是非見ていただきたい動画です。

長時間萎凋により甘い香りを引き出しました!

劉家古樹生茶を作るに辺り、今年から萎凋を12時間以上行うようにしました。萎凋を長時間行うと、お茶に含まれる酵素によって茶葉が微発酵し、花〜フルーツのような甘い香りが形成されます。長時間萎凋をしたお茶は、また、熟成したときに一般のお茶よりも早く甘い熟成香を形成します。おそらくこのお茶は数年置くだけで、甘いフルーツの香りを楽しむことが出来るでしょう。餅茶で購入された場合、是非暫く保管し、熟成香を引き出してみてください。

2018年は雨が少ない年だったこともあり、非常に良い品質のお茶が出来ました。入荷量があまり多くないため、興味のあるお客様は早めにご注文ください。

お勧めの自然栽培茶!岩鳴山古樹白茶2018の販売を開始

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岩鳴山古樹白茶2018の販売を開始しました。岩鳴山産の白茶はHOJOの白茶の中でも非常に人気があり、リーピート購入が多いお茶の1つです。

有機栽培を超えた自然栽培茶

岩鳴山古樹白茶は、雲南省臨滄地区の標高2000mにある山岳地帯の茶園で作られた白茶です。原料となる生茶葉は、農薬も肥料も使われていない自然栽培茶園から入手しました。中国の場合、一般に有機認証を取得しているような有機栽培茶(オーガニックティ)は、肥料(有機)が多用されていることが多く、安全面は担保されているものの素材としての品質を伴っておりません。実際、有機無機に関係無く、窒素肥料の使用はお茶の味に悪影響を与えます。完全無肥料の自然栽培茶は、時間をかけてゆっくりと成長することから、茶葉はミネラルとポリフェノールを豊富に含み、透明感のある香りがし、強いコクを楽しむことが出来ます。

ダージリンファーストフラッシュと似て非なる花の香り

岩鳴山古樹白茶は甘い花の香りがし、ダージリンファーストフラッシュの香りを連想します。ただし、ダージリンファーストフラッシュとの決定的な違いは2つあります。1つ目は岩鳴山古樹白茶のコク(余韻の長さ、後味の濃さ)がダージリンと比べると圧倒的に強く感じられます。2つ目の違いは、ダージリンファーストフラッシュは生産工程で100℃以上の温度で加熱されます。これによって、熱に香気成分が化学変化し、ダージリンファーストフラッシュ特有の香りを形成し、同時にシャープな味を呈します。岩鳴山古樹白茶は、全く熱を使わずに生産されるため、発酵茶特有の香気成分を有しており、滑らかで、やさしい味わいがします。逆に、もし、白茶を100℃以上の温度で加熱したとすると、ダージリンファーストフラッシュそっくりの香りが形成されます。

白茶の萎凋の様子:萎凋をしっかりとすることで、花のような甘い香りが形成されます。

白茶が苦手という人に逆に飲んで貰いたいお茶

白茶と聞くと、「いや、白茶はちょっと、、、」と言われるお客さんが意外に多いように思います。その理由を聞くと、「埃っぽい香りがする」「今一個性が無くて楽しめない」「草みたいな香りがして美味しくない」と言った理由が多数を占めます。私自身、福建省などで一般的に売られている白茶を飲むと、全く同じ感想を持ちます。そもそも、加工の工程がシンプルな白茶の場合、原料茶葉の品質が最終的なお茶の品質に強く影響します。また、近年では白茶の生産者は見た目に重点を置きすぎている傾向があり、萎凋はそこそこに、送風をして乾燥を早めるような作り方が主流になりつつ有ります。萎凋がしっかりと出来てない白茶は、発酵する前に乾燥してしまうため、草のような、埃のような香りがします。HOJOでは、白茶本来の花のような甘い香りを引き出すために、原料となる茶葉を自然栽培茶園から入手し、更に、製茶においても萎凋工程を十分に行うことで花のような甘い香りのするお茶を作りました。

茶摘み規準が白茶の味香りに与える影響

このお茶は1芯3葉の茶葉から作られています。一般に、芽だけ、1芯1葉などのように芽の割合が高いと、口にいれたときにクリーミーで、滑らかなとろけるような舌触りがするのに対し、1芯3-4葉になると、味と香りが強く、より個性がはっきりとしたスッキリとした味わいのお茶になります。どちらが良いというわけではなく、好みの問題です。ただ、長期熟成をしたい場合、また、味香りがスッキリしたお茶を求めた場合、1芯3-4葉でお茶が適しております。1芯3-4葉のお茶を白茶に加工した場合、非常に嵩張ることから、圧縮して餅茶に加工しております。


岩鳴山古樹白茶の外観:見た目からは想像も出来ない花のような甘い香りのお茶です!

白茶の熟成の方法

白茶は熟成による変化を楽しめるお茶です。白茶は微発酵茶と言うこともあり、熟成をした際、プーアル生茶よりも変化速度が速く、熟成による変化を最も体感しやすいお茶だと思います。熟成することで、まず香りが変化します。最初は花のような香りだったお茶は、1-2年で徐々にフルーツ系の香りへと変化し、その後、蜜のような甘い香りも形成します。更に、熟成が長期化すると、舌触りも変化し、お茶の味が非常に滑らかになり、香りも更に濃厚に変化します。白茶は微発酵茶と言うこともあり、熟成速度が非常に速く、1年間置いただけでも変化が感じられます。2-3年熟成した白茶は別のお茶と思うほどに香りが変化します。1年以上熟成したお茶は、開封後、1-2週間ぐらい置いてから飲み始めてください。開封直後は香りが弱く、味が軽めですが、適度に酸化させることで、香りも味も急激に強まります。

白茶の飲み方

代表的な淹れ方を紹介します。お茶を淹れる際は塩素を除去した水を用いてください。急須200-300mlに対して4-5gの茶葉を用います。
沸騰水で茶器を10秒間予熱した後、茶葉を入れ、沸騰水で茶葉を10秒間予熱し、湯は捨てます。
1煎目は2分位、2煎目以降は10秒内でいれてください。

白鶯山古樹白茶はまた、水出しにも適したお茶です。水出し茶の作り方は以下のサイトを参考にしてください。

誰でも簡単に出来る水出し茶の作り方

佐渡島の渡辺陶三氏の手作り無名異焼急須4種入荷販売

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佐渡島の渡辺陶三氏作の無名異焼が数種類入荷・発売しました。具体的には以下の商品が入荷しました。

今回入荷分より、秋津無名異の土のバッチが変わりました。HOJOで取り扱っている茶器の土は、どれも天然土と言うこともあり、山から採取するバッチ毎に土の個性が多少変化します。ここ一年間に使用していた秋津無名異の土は、コク(余韻)が強めに出て、逆にふくよかさ・香りの広がりがやや穏やかでした。今回入荷したバッチより、新たに山から採取した秋津土に切り替わりました。新しいく精製した土で淹れたお茶は、ふくよかさが味に強く出ております。

秋津無名異 酸化焼成

秋津無名異の酸化焼成は香りを豊にすると同時に、お茶のコクを増します。烏龍茶や紅茶の様な発酵茶との相性が高い土ですが、日本茶やプーアル茶を始めその他のお茶にもお使いいただけます。

150mlの小型のフリーカップも入荷しました。

秋津無名異 炭化還元

酸化焼成と比べると、よりコク・後味が強く感じられる反面、香りの広がりについてはやや控えめです。同じく、発酵茶から日本茶まで幅広くお使いいただけます。

久しぶりに小型のフリーカップが入荷しました!

野坂粗土酸化

ふくよかさは全く高めず、コク・後味だけを高める土です。ふくよかさを高めないと言うことは、同時に、香りを穏やかにする傾向があるため、火が強く入った烏龍茶や日本茶に用いると、お茶の味わいをじっくりとお楽しみ頂けます。

野坂粗土還元

ふくよかさをむしろ減少し、コクと後味のみを強力に高めます。極端な例、この土にペプシコーラを入れると、コカコーラのような味へと変化します。極めて個性的な土ゆえに、どのお茶に合う合わないと言うよりも、この土でお茶を淹れたときの味香りの変化が面白い土です。日本茶や強く火が入ったお茶などに向いております。香りよりも、とにかく後味を楽しみたいという人にお勧めします。

外出先で簡単に美味しいお茶をいれる方法

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お茶が好きな人にとって、外出時に美味しいお茶が飲めないのはとても悲しいことです。お茶が大好きな私としても旅行中何を飲むか悩みます。私にとってはペットボトルのお茶は清涼飲料の延長と感じており、飲むことは殆ど有りません。そこで、旅行中も比較的手軽に「そこそこ美味しく」お茶を飲む方法を紹介したいと思います。

ミネラルフォーターのペットボトルに直接茶葉を投入

私は遠方に外出の際には、茶葉を携帯し、それをコンビニなどで購入したミネラルフォーターのボトルに直接投入し、蓋をした上で暫く放置します。1時間もすると、お茶の味や香りが抽出され、十分に楽しめる濃度になります。以前のブログで、お茶を水出しにして楽しむ方法を紹介しました。発酵度が低い、緑茶、白茶プーアル茶、微発酵の烏龍茶などは、水出しでも味香りを引き出すことが出来ます。水出し茶の入れ方は以下のブログをご参照ください。

誰でも簡単に出来る水出し茶の作り方

具体的なお茶のいれかた

ペットボトルは500mlでも1.5リットルでもかまいません。
旅先ではお茶の抽出をあまり長く待てません。そこで茶葉の割合をやや多めにすることで、短時間でお茶の抽出を完了することが出来ます。
具体的には500mlに対して3g位のお茶を使用します。この割合であれば1時間くらいでお茶の味香りを楽しめます。茶葉をセットして、ボトルを鞄の中に入れておくだけです。
茶葉は直接投入しても良いのですが、飲み口の茶葉の存在が気になる場合、100円ショップなどで販売されている簡易的なティーバッグに茶葉を入れた上でペットボトルに入れると良いかと思います。
尚、投入した茶葉ですが、最初の内は水面付近に浮いておりますが、時間と共に底に沈みます。

100円ショップで購入したフリップ式の簡易ティーバック

茶葉が嵩張らないようにすることが肝要

ペットボトルの口は割と小さいため、形状があまり嵩張らないお茶が投入しやすいという点で適しております。嵩張る茶葉でも、ティーバックなどがある場合、茶葉をティーバックに淹れた後、ティーバックを上から手で軽く圧縮すると砕けて細かくなりボトルに入れやすくなります。また、茶葉を小さくした方が抽出速度がより早くなります。テイーバックが無い場合、ジャスミンパール、烏龍茶、プーアル茶等、茶葉が塊状になっているお茶を選択すると比較的簡単にボトルの口に投入できます。

火草山産の茶頭磚(プーアル熟茶)2017の販売開始

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2017年産の火草山古樹熟茶の発酵過程で回収した茶頭磚250g(ブロック)プーアル熟茶の販売を開始しました。商品は茶頭磚2017の名称で販売しております。濃香な乾燥フルーツの香りがするお茶で一の飲んだら強く印象に残るお茶です。

微生物と熟成が織りなす味香りの相乗効果

茶頭はプーアル熟茶の発酵を行う際、放線菌が生産する多糖類によって、自然に形成されるお茶の塊です。
茶頭の形成時には、発酵途上の茶葉が、お茶の塊内部に無酸素状態で閉じ込められます。同時に放線菌の発酵によって、周りの温度が70℃近くまで上昇するため、茶頭内部の茶葉は、急速に熟成されます。この熟成ゆえに、茶頭は非常に個性的で濃厚なフルーツの香りを形成します。

火草山古樹熟茶の生産過程で得られた茶頭

今回発売した茶頭は、HOJOでも非常に人気が高い火草山古樹熟茶の茶頭です。以前、このお茶から作られた「大茶頭」を限定予約販売しましたが、今回発売するのは、中サイズの茶頭を正方形のブロックに緊圧した商品です。火草山古樹熟茶はプーアル生茶用の高級茶葉を原料としており、プーアル熟茶の既成概念を塗り替える味香りのお茶です。既に、火草山古樹熟茶を飲まれた方はよくご存じと思いますが、非常に軟らかく、深い後味がしっかりとしており、プーアル熟茶が苦手という人にも好評価を頂いております。

火草山茶頭については、詳しくは以下のブログをご参照ください。
https://hojotea.com/jp/posts-159/

経年熟成によりブランデーのような香りを形成

茶頭は一般のプーアル熟茶と比べると、より経年熟成による香りの変化を顕著に感じる事が出来ます。熟成方法は未開封の状態で、暖かい場所に保管してください。HOJOでは無酸素の状態で包装してますので、お茶が理想的な熟成をします。尚、開封した際には、1-2週間空気にさらし、成分の空気酸化を促すことで、より香りも味も豊になります。

茶頭の飲み方

茶頭は一般的な熟茶よりも茶葉が固く凝集しており、それゆえに、長めの蒸らし時間が求められます。まず、急須に沸騰水を注ぎ入れた後、10秒間予熱した後に、茶葉5gを投入します。それを沸騰水で10秒ずつ2回リンスしてください。これによって茶葉の温度が上昇し、味香りが抽出されやすくなります。1煎目は1分位(必要に応じてやや長めに蒸らしてください。)、2煎目以降は10秒内の蒸らし時間でお茶をいれてください。茶頭は10煎くらいお茶をいれることが出来、非常に経済的なお茶です。


ジャスミン茶はどうやって作られる?

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ジャスミン茶の仕入で広西壮族自治区に行きました。何回かに分けて、ジャスミン茶の作り方、どのような要素が品質に影響するかなどを紹介したいと思います。

ジャスミン茶(茉莉花茶)とは

ジャスミン茶って具体的にどういうお茶か知ってますか?
ジャスミン茶というと、ジャスミンの花を乾燥したお茶、或いは、ジャスミンの葉を乾燥したお茶と思われがちですが、そうではありません。
ジャスミン茶は緑茶とジャスミンの花を混ぜあわせることで、緑茶にジャスミンの香りを吸わせて作ります。つまり、ジャスミンの花や葉ではなく「お茶」です。
尚、質の低いジャスミン茶は、一度利用されたジャスミンの花で香りをつけたり、ジャスミンの香料を噴霧して作られます。

ジャスミン茶の製造工程

ジャスミン茶のベースとなるお茶は、その殆どが緑茶ですが、基本どのようなお茶でもかまいません。ジャスミンの花は夜に開花するため、水分を落とした茶葉とジャスミンの花を夕方に混ぜあわせ、朝までかけて茶葉にしっかりと香りを吸い込ませます。朝、篩にかけ、茶葉と花が分離され、回収された茶葉は再び乾燥され、夜に再びジャスミンの花と混ぜます。基本、混ぜる回数が多いほど、香りが強くなります。

ジャスミンの花と緑茶を混ぜている工程

ジャスミン茶に使われる緑茶

10年ほど前までは、福建省産の福鼎大白などの品種から作られた緑茶がジャスミン茶の王道でした。ところが、2013年頃から白茶の値段高騰に引っ張られ、福建省産の緑茶の値段も高騰してしました。10年前と比べると、ベースとなる緑茶の値段は10倍に高騰しております。値段高騰に伴い、より生産量を増やそうと、肥料も多用されるようになっております。このため、コストと品質の点、更に農薬の面から、近年では雲南省産の緑茶が注目されております。雲南省の緑茶の多くは、プーアル県で生産されており、標高が高く、肥料をあまり使用してないことから、味が濃く感じられ、福建省産のお茶とは方向性が異なる物の、飲みごたえがあり美味しいお茶です。

ジャスミンの市場周辺には沢山の緑茶の卸店がありました。これらのお茶は通常質の良くないジャスミン茶用です。

ジャスミンの花の産地

福建省では2010年くらいまでは、ジャスミンの花も積極的に栽培が行われており、当時は、福建省で作られた緑茶が、福建省産のジャスミンの花によって香り付けされておりました。2015年頃から福建省では高速鉄道や高速道路などのインフラが急速に開発されたことで、人件費が高騰しました。それに伴い、福建省産のジャスミンの花は、殆ど作られなくなり、現在ではほぼ消滅に近い状態です。それに対して、政府をあげてジャスミンの花の栽培に力をいれているのが広西壮族自治区です。広西は雲南省と広東省の中間地点に位置しており、ベトナムのお隣です。壮族という少数民族が人口の殆どを占めます。標高が低く、南西部に位置するために年間を通じて温暖な気候と、安価な人件費、広大な土地が豊富にあることから、10年以上前から中国最大のジャスミンの生産地となりました。福建省産のジャスミンの花の供給がほぼ無くなったことから、福建省のジャスミン茶の生産会社の多くは広西壮族自治区へ移動しました。

広西壮族自治区横県のジャスミン鮮花市場

非常に手がかかるジャスミン茶の仕入

福建省や雲南省で作られた緑茶は、広西壮族自治区にある各工場へと運ばれ、そこでジャスミンの花の香りを吸わせる作業が行われます。仕入れる側からすると、まず、春にベースとなる緑茶を確保し、夏〜秋にジャスミン茶を作り上げる花の香りを吸わせる作業を手配する必要があります。着香は何回行うか、どのような方法で行うかなど、色々方法にノウハウがあり、通常は生産された先行サンプルを1-2回受け取り、香りと味を評価しつつ、着香の専門家と生産方法の調整を行います。他のお茶と比べて非常に仕入れに手がかかるお茶です。

美味しいジャスミン茶に使われる高品質なジャスミンの花とは?

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ジャスミン茶は緑茶とジャスミンの花を混ぜ、ジャスミンの香りを緑茶に吸わせることで作られます。ジャスミン茶の味を決める第一の要素は緑茶の品質ですが、ジャスミンの花の収穫時期や品種もジャスミン茶の香りの質や強さに大きな影響を与えます。

広西壮族自治区の横県はジャスミンの花の有名産地

中国最大のジャスミン茶の産地は広西壮族自治区の横県で、中国の80%、世界の60%に相当するジャスミン茶が横県で香り付けされております。広西壮族自治区は、人件費が安価である点、標高が低く、緯度が低く亜熱帯と言うことで年間通じて温暖な気候である点からジャスミンの花の生産に適しており、政府手動でジャスミンの花の栽培に力をいれております。

ジャスミンの花の品質が最もよい時期は?

ジャスミンの花は5月から10月まで生産されます。このうち、5-8月などの雨の多い季節は気温も高く、花の生長が極めて早いために花に水分が多く含まれ、同時に香りが弱くなり、市場での価格も非常に安くなります。この為、この季節のジャスミン茶はレストラン向けやペットボトル飲料用のジャスミン茶原料等、比較的に安価なグレードのジャスミン茶の生産に用いられます。逆に8-10月になると、雨が非常に少なくなり、晴天が続くことから、ジャスミンの花は水分をあまり含まず、香りは濃厚になります。ただし、この時期は開花するジャスミンの花も少なくなるため、市場での価格は非常に高くなり、この時期に収穫されたジャスミンの花は高級グレードのジャスミン茶用にに使用されます。私が仕入れているお茶も、秋摘みのジャスミン茶で生産が行われております。つまり、夏前に生産されたジャスミン茶は香りが弱い傾向があります。

ジャスミン茶用に栽培されているジャスミンの花の品種

ジャスミンの花の品種は多種類に及び、中国固有の品種に加え、タイ、ミャンマー、ベトナム系などいろんな品種が有ります。近年、広西でジャスミン茶の着香に最も頻繁に使用されるジャスミンは、花弁が二重になっているタイプのジャスミンです。

様々な品種のジャスミンの花

ジャスミン茶生産に用いられるジャスミンの花

手作業で膨らんだつぼみを選んで摘み取る

ジャスミン茶を摘む際は、手作業により一つ一つ摘まれます。摘む際は、開花した花ではなく、蕾の状態の花を選んで摘みます。開花した花は既に香りを放ってしまっており、ジャスミン茶の生産には使えません。また、小さすぎる蕾はその日の夜に開花しないため、緑茶と混ぜても用をなしません。重要なのはその日の夕方に開花する花の蕾を選んで摘み取ることです。

真ん中が摘み頃。開いた花はジャスミン茶の生産には使用できません。

摘み頃のジャスミン

真ん中2つが摘み頃、小さな蕾は翌日くらいに摘まれます。

ジャスミンの花はその日のうちに開花

摘まれたジャスミンは、夕方になると、広西壮族自治区の横県にあるジャスミン鮮花市場へと運ばれます。市場における相場はネットを介して刻一刻と表示され、その値段を見つつ、農家の人々は売るタイミングを計ります。ただ、ジャスミンの鮮花は、その日のうちに着香工場へと運ばれ生産に用いられます。したがって、農家としては安くても高くても最終的には売ってしまわなければなりません。雨が多い6-7月のジャスミンと比べ、生産量が少なく質が高い秋のジャスミンは4-5倍の値段がつきます。尚、市場では前日の晩に着香に用いられた、「中古」のジャスミンの花も流通します。これらはボトル飲料などのような安価なジャスミン茶の生産に使用されます。

広西壮族自治区横県のジャスミン生花市場

新しいジャスミンパールを2種類販売開始

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ジャスミンパールの商品構成を刷新しました。これまでHOJOのジャスミンパールは1種類だけでしたが、廉価バージョンと、高級バージョンの2種類を発売しました。何れも、仕入れるロットの農薬を分析し、日本の規準及びヨーロッパEUの基準を満たしている事を確認の上で仕入れを行いました。

高級なジャスミン茶は緑茶にジャスミンの鮮花の香りをすわせて作られます。

ジャスミン茶は、「ジャスミンの花」や「ジャスミンの葉」から作られるお茶ではありません、質の高いジャスミン茶は、緑茶とジャスミンの鮮花を何度も混ぜあわせることで、緑茶にジャスミンの香りを吸わせ、作られます。したがって、①ベースとして用いられる緑茶の品質と、②使用するジャスミンの花の品質、③何回ジャスミン茶を混ぜあわせるかでジャスミン茶の品質が決まります。

ジャスミンの香り付け工場の様子

雲南省の緑茶からジャスミン茶を開発

ジャスミン茶のベースとなる緑茶ですが、10年前は福建省産のお茶が一般的でした。しかしながら、近年では福建省産の白茶の値段高騰の影響で、ジャスミン茶の価格が劇的に値上がりしました。そこで、私達は福建省産の緑茶に変わる、ジャスミン茶に適した緑茶を探し続けてきました。近年、雲南省産の緑茶がジャスミン茶に適しているという情報をジャスミンの専門家から入手したため、私達も雲南省の緑茶で、商品の試作を繰り返してきました。その結果、非常に満足の行くお茶を開発することが出来たため、これまで販売しておりました福建省産のお茶のみから作られたジャスミン茶を廃止し、今年より、2つの商品構成でジャスミン茶の販売を行うことにしました。スタンダードのジャスミンパール(茉莉龍珠)は普段飲みにお薦めします。また、茉莉龍珠のSpecial Grade(スペシャルグレード)は高級なジャスミン茶を優雅に飲みたい人にお勧めします。

茉莉龍珠(スタンダード)

雲南省産の標高が1500m以上の茶園で作られた春の一番摘みの1芽1葉の茶葉から作られた商品です。雲南省のお茶は標高が高い点と、肥料を殆ど使わずに作られている点からベースとなる品質が極めて品質が高く、1芽1葉でも苦味が殆ど無く、円やかで、味わいの深いお茶です。ジャスミンパールというと、芽のみから作られたお茶というイメージがあるかもしれませんが、このお茶はその様なイメージを払拭する鮮烈なジャスミン茶の香りと、コクのある、豊かな味を呈します。また、1芯1葉にしたことで、芽のみを摘むことを思うとお茶摘み効率が上がり、それによって原料のコストを下げることが出来ました。この為、これまでの商品よりも安く販売することが可能となりました。

茉莉龍珠 Special Grade

このお茶は雲南省産の1芽のみから作られた緑茶と、福建省産の芽をブレンドする事で作りました。後味がしっかりとし、豊かな味わいの雲南省産のお茶と、口当たりが滑らかでマイルドな福建省のお茶を併せることで、両方のお茶の長所を取り入れました。味香り共に、理想的なレベルに仕上げられた高級ジャスミンパールです。ただし、原料が非常に高い為、価格が高めです。このお茶は入手が非常に困難であるため、今後継続して入手出来ないと可能性があるため、限定での発売とします。現時点ではまとまった量のお茶を仕入れてはおりますが、現在有る在庫が終わり次第終売といたします。

中国安渓産の鉄観音 中焙火の販売を開始

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中国安渓の鉄観音の中焙を発売しました。品質と日本の農薬基準の両方を満たす商品が見つからず、これまで長年にわたり手頃な値段帯の鉄観音を販売できませんでした.。しかし、過去何回も安渓に足を運ぶことで、農薬管理を徹底している生産者と出会うことが出来、遂に発売にこぎ着けることが出来ました。今回発売するお茶は中国で非常に人気がある中焙火ですが、近将来、重焙火についても発売を予定しております。

鉄観音という名称はお茶の名前

鉄観音は非常に有名なお茶ゆえ、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。鉄観音とはお茶の作り方の名称ではなく、鉄観音種というお茶の品種から作られたお茶の事です。例えば、リンゴにフジ、紅玉、王林と、様々な品種があるのと同じく、お茶にもいろんな品種があり、鉄観音はその中の一つです。鉄観音の特徴は、他の品種と比べると成長速度が遅く、それゆえに、後味が強く、余韻の長いお茶です。また、鉄観音種の特徴として、半発酵に製茶することで、蘭の花のような香りがします。

武夷山、安渓、台湾と烏龍茶が伝播

安渓は厦門の北部に位置する県で、鳳凰鎮と武夷山とならぶ中国の3大烏龍茶生産地の1つです。1706年に崇安県令王梓によって書かれた「茶説」によると、「武夷山の烏龍茶の人気の高まりに伴い、安渓で武夷山の烏龍茶の製法が模倣されている」ことが記載されております。ただ、別の史実として、安渓出身者が武夷山でお茶作りに従事しており、彼らが地元である安渓に戻って、烏龍茶を作り始めた、とも考えられております。その証拠に、武夷山のお茶生産者の中には、安渓の方言である閩南語を話す人がおります。烏龍茶の製法が安渓に伝播した後、安渓では、包揉(茶葉を粒状に揉捻する方法)のようなオリジナルの加工法の開発等、安渓のお茶は独自の進化を遂げ、現在、安渓は中国国内外でも非常に人気のある烏龍茶の産地です。安渓はまた、東南アジアに展開する華僑の故郷の1つでもあり、また、台湾人の多くの故郷は安渓をはじめとする泉州や厦門です。歴史的に、安渓のお茶作りの伝統は閩南民族の移民と共に台湾へと伝播し、それが現在の台湾烏龍茶の基礎となっております。

良い鉄観音は標高の高い茶園産

他のお茶の例に漏れず、鉄観音についても標高が高いほど品質が優れたお茶が出来ます。標高というと、ダージリンや台湾の高山茶ばかりが注目されがちですが、実は、あらゆる種類のお茶に関して、標高はお茶の品質を左右する非常に重要な要素です。標高が高くなることで、余韻が長くなり、苦味が減少します。また、香りの質が良くなり、単純に香りが強く感じられます。今回紹介する、鉄観音中焙火は中国福建省泉州市安渓県の大坪村で作られたお茶です。茶園は1000m-1300mの標高に位置しております。

蘭の花の香りと香ばしさを両立した中焙火

中焙火とは、お茶のを中程度に焙煎したお茶の仕上げ方の呼称です。清香タイプの鉄観音も有名ではありますが、中国で最も人気のあるのは、中焙火のスタイルではないかと思います。中焙火の鉄観音は蘭の花のようなフローラルな香りと、香ばしさの両方を有し、万人に受けるお茶に仕上がっております。食前、食中、食後など様々なオケーションにお勧めします。

仕入れたロット毎に農薬を分析

福建省のお茶は中国国内での需要が高いため、これまで農薬に関しては使いたい放題に近い状況でした。この為、HOJOでも10年以上、鉄観音を取り扱ってきませんでした。ただし、近年、中国でも輸出を意識し、EUや日本向けの農薬基準適合したお茶を作る農家が散見されるようになりました。私が仕入れをしている農家では、日本政府が発行した、農薬のガイドラインに基づき、農薬の管理を行っており、また、確認の為、当該ロットについてはドイツ系のSGSという検査機関で分析をすることで、日本の農薬基準に合致していることを確認した上で仕入れを行いました。

鉄観音の美味しいいれ方

鉄観音にはいろいろな淹れ方がありますが、2つの方法を紹介します。
まず、方法を問わず必ずやっていただきたいのが、急須(蓋碗)に沸騰している湯を注ぎ入れ、10秒間予熱してください。

200-400mlの大型の急須を用いる場合

茶葉を急須にいれたら、1度熱湯を注ぎ入れ(この時は100ml程度でOK)10秒間静置して茶葉を予熱後、湯を捨ててください。茶葉を加熱することで、香りの質を高めることが出来ます。1煎目は熱湯を注ぎ入れ、2分ほど蒸らします。2煎目以降は、熱湯を注ぎ入れたら数秒内で注ぎだしてください。

工夫式の淹れ方

100-200mlの小型の茶器に、5g程度の茶葉をいれます。工夫式の場合、茶葉の余熱(洗茶)を2回行います。余熱が完了した茶器に、茶葉を投入し、沸騰水を注ぎ入れ10秒間余熱します。更に、もう一度、沸騰水を注ぎ入れ5秒間予熱します。そして、1煎目は熱湯を注ぎ入れ、10秒間蒸らします。薄めが好みの場合、5秒でも可です。2煎目以降は、湯を注ぎ入れたら数秒内で注ぎだしてください。短すぎると思われがちですが、2煎目以降は熱湯を通すだけで意外にしっかりと味香りがあります。

嘘のようにお茶が美味しくなる工夫式のいれ方

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工夫式のいれ方について、よく質問を戴くため、あらためて、工夫式で美味しくお茶をいれる方法を紹介したいと思います。
工夫式は中国語では功夫式と書きます。つまり、「こだわったいれ方」という意味と考えてください。
工夫式のいれ方は、潮州が発祥とされております。鳳凰単叢烏龍茶のような、非常にこだわって作られた工夫茶(功夫茶)をより美味しく味わう為に、考えられたいれ方と言えます。実際、このいれかたをマスターすると、同じお茶とは思えないほど美味しくお茶がはいります。

工夫式のポイントは徹底した余熱

工夫式のいれ方のポイントは、お茶を徹底的に予熱することで、「お茶の香りを起こす」ことです。スルメや海苔を焙ることで、香りがよくなるのと全く同じ原理で、沸騰水で熱処理することで、お茶の香りを立たせ、味に関しても雑味を無くし、透明感を引き出します。
大事な点は「茶葉の温度」を限りなく100℃に近づけることです。ただ、茶葉に沸騰水を注いでも、一瞬で温度が下がり、70℃(冬場だと60℃)位に冷えてしまいます。そこで、余熱を段階的に行うことで、茶葉の温度をあげ、香りと味を瞬時に改善してしまおうと言うのが工夫式の淹れ方になります。

具体的な工夫式の淹れ方

具体的ないれかたですが、茶葉の量は正直何グラムでも良く、好みに応じて増減してください。目安として、濃く飲みたければ5g以上、薄めが良ければ2g以下でよいでしょう。急須や蓋碗のサイズも制約はありませんが、茶器があまり大きいと余熱で使用する湯が無駄になります。一般的には50-200ml位の茶器が工夫式の淹れ方に向いております。尚、工夫式の淹れ方は、どのお茶に対しても応用できます。烏龍茶、プーアル茶、白茶、紅茶、緑茶、どのお茶も工夫式のいれかたでいれると、違いがはっきりと感じられます。

1. 茶器の余熱:沸騰した湯を茶器になみなみ注ぎ入れ、10秒置きます。

2. 茶葉投入

3. 余熱1回目:沸騰した湯を注ぎ入れ10秒間置きます。

4. 余熱2回目:沸騰した湯を注ぎ入れ10秒間、又は5秒間置きます。※注1

5. 1煎目:沸騰した湯で一定時間蒸らします。※注2

6. 2煎目以降:沸騰した湯を通すだけです。湯をいれて数秒内に注ぎだしてください。

※注1 余熱は2回とも10秒間行うことが理想です。ただし、プーアル茶の散茶、烏龍茶、紅茶などは味香りが出るのが速いため、私は勿体ないと思い、妥協して5秒としております。プーアル茶の餅茶のように塊になっているお茶は、10 x 2回で予熱してください。ただし、最高に美味しくお茶をいれる必要がある場面では、私は茶葉の形状に関係無く10秒 x 2回の余熱を行います。

※注2 蒸らし時間ですが、鳳凰単叢、プーアル茶の散茶、紅茶のようなルーズな形状の茶葉の場合、私は5秒蒸らします。味を濃いめにしたい場合は、10秒間蒸らします。また、餅茶のように、塊状になっているお茶については30秒位蒸らしたりします。蒸らし時間は、ただ単に濃淡の好みなので、自己判断で適切なタイミングを探られると良いかと思います。

具体的な淹れ方は以下の動画を参照してください。(誤操作で露出が強すぎたため、やや明るくなりすぎてしまいました。)

一旦冷えてしまった茶葉でお茶を再開する場合

お茶を飲んでいる途中で、茶葉が完全に冷めてしまった場合、どのように再開すべきか説明したいと思います。実際、最初に高い温度で余熱処理が出来ていれば、茶葉が冷えた状態で湯を注いでも、余熱処理をしてないお茶とは比にならないレベルで美味しくお茶をいれることができます。プーアル茶や紅茶、緑茶などはこの方法で十分です。ただ、特に烏龍茶や白茶などは、冷めてしまった茶葉に湯を注ぎ入れると、香りがぼけた感じになります。本場潮州の工夫式の淹れ方の場合、茶葉が冷えてしまった場合、しっかりと水分を切り、再度沸騰水を通して予熱することで、再び継続してお茶をいれます。この方法を採ることで、先ほどまでと同じような質の良い味香りを呼び戻すことが出来ます。

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