お茶を急須でいれた際、その都度蓋を外し、茶葉を冷やしておりますか?
お茶はいれる人によって、味が変わると言いますが、実際に飲み比べてみるといれる人により確かに味が異なります。
お茶は熱に弱いが、香りを出すには熱が必要と言う矛盾
お茶は水出しでもいれられますが、華やかな香りを引き出すためには熱いお湯でいれる必要があります。反面、お茶がお湯に浸されるとお茶の成分は熱ダメージを受けます。つまり、お茶をいれるという動作は、2つの矛盾した要素を含みます。このような事情から、お茶は必要最低限の熱により抽出をし、それが終わったら即冷却してあげることが、何煎も美味しくお茶をいれるためのポイントです。
高温短時間でお茶をいれると成分へのダメージが少ない
私は以前食品メーカーで香辛料の殺菌システムの選定・導入・運営に深く関わっておりました。その際、同じように微生物を死滅させるためには低温で長時間殺菌するよりも、高温で短時間殺菌する方法のほうがハーブや香辛料への品質ダメージが少ない点を実験データから確認しました。お茶についても、同様でお茶への酸化ダメージという観点から見ると、低めの温度で長時間いれる方が、沸騰水で短時間いれるよりも酸化ダメージが大きいわけです。したがって、理想を言うと、沸騰水で短時間いれた方が、80℃位で数分いれるよりもお茶の成分へのダメージは少なくてすみます。
お茶は全部注ぎきることが大事
お茶をいれる上で重要なのは、お茶をその都度最後の一滴まで注ぎ出す点です。例えば、急須が300mlなのに対し、2人でお茶を飲んでいた場合、湯飲みの容積は大体100mlなので、2人分の約200mlを注ぎ分けた後も100mlのお茶が急須内に残ります。しかし、湯が残った状態で放置すると、お茶は熱によるダメージを受け続け、その後、2煎目を入れる頃には、お茶の味も香りも出尽くし、また、お茶の葉は酸化します。このような事態を回避するためにも、お茶は必ず最後の一滴まで注ぎ出すように心がけてください。最後の一滴まで注ぎ出すためには、湯飲みの容積にあわせて湯の量を調整するか、茶海(ピッチャー)などを用いることで、湯飲みに直接注がない方法が理想です。
お茶を注ぎ終わったら必ず蓋を取る
お茶をしっかりと注ぎだした後は、蓋を外し、急須内の茶葉の温度を下げてください。意外に多くの人が蓋をはずさず、急須に蓋をしたままにしておりますが、その場合、急須内の温度が高いままですので、茶葉が文字通り「蒸らされ」、お茶は酸化してしまいます。中国や台湾でも、お茶に詳しい人は、お茶を出し終わったら、即蓋を取っております。なお、この方法はお茶の種類に関係無く実施してください。
茶葉の視点から、出来るだけ、熱ダメージがかからないような方法に気を配ると、新鮮な香りを維持しつつお茶を何煎もいれることが出来ます。